大雨の後

2012.05.06.21:15

先日、東北で発達した低気圧が通過したせいだったかで、
大雨が降りました。

もともと雨が多くはないこの地域、
地震と津波の傷が深く残る、ここ岩手県沿岸部では、
慣れない大雨に、
人も地面も悲鳴をあげました。
ちょうど桜が一通り満開になった後で、
満開の桜を見そびれた人たちが、遅ればせながら花見でも、
と思っていた矢先の大雨でした。

そもそも、仮設住宅は、
もともと人が住んでいなかったような、環境の悪いところに立っていることが多く、
これまでだったら問題がなかったような雨でも、
これまでの何倍にも人々を苦しめます。
床上・床下浸水や土砂崩れ、がけ崩れなどで、
多くの人が、もともと足場の悪い仮設住宅から、
避難所への避難を余儀なくされました。

ようやく生活が安定してきたところに、
かつての忌々しい思い出が残る避難所への避難。
数字に残るような被害は大きくなくても、
精神的には、かなりつらい一撃になったのではないかと思います。

仮設住宅が建ってる山の奥が、
水や土砂で大変になってる一方、
かつて人々が暮らしていた町の中心部は、
水がたまって、まるで湖になってました。
地盤沈下の影響もかなり大きいと思いますが、
ここがタイやビルマ、バングラなら分るけど、
つい一年前まで人が住んでいた、日本の土地とは
到底信じられない光景でした。

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かつてのメインストリートです。

写真 12-05-04 13 08 35
かつての役場とその前で営業を再開していたガソリンスタンド

写真 12-05-04 13 13 18

写真 12-05-04 13 13 38

町が浸水するほどの大雨、ていうのなら分りますが、
ちょっと強い雨が降るたびに町が浸水、っていうか沈んでしまう。
この光景を見た時、思わず、思ったのが、
「もうここには住めないな・・・」
いくらがれきを撤去しても、道路を整備しても、
そういうレベルの問題ではない、
根本的に、大槌の街中が、人間が生活できる環境ではなくなってしまった、
そういう現実を突きつけられた気がしました。

現在、山奥の仮設住宅に住んでいる人は、
この先どこに住めばいいのか。
山と海と、平地がちょっと、
かつての大槌はそんな町でした。
そのちょっとの平地に、多くの人が住んでいた訳ですが、
これからみんなはどこに住めばいいのか。
重たい現実、見えない展望。

変わるものと、変わらないものと

2012.04.10.21:26

この年度末から年度初めにかけて、いろんなことが起きました。

まず、AMDAで一緒に大槌で働いた、東京の心臓外科の先生が
大槌を訪ねて来てくれました。
ほぼ毎日病院でカンヅメ状態なのに、よく2日間も休みをとったもんだ。
しかも年度末に。

実は、外から来たお客様を釜石、大槌の被災地にご案内するのは、
こちらに来てから初めてだったのもあり、
よくもまあ、ここで働いたことを覚えていてくれて、
ここの土地のことも覚えてくれていて、
そして、ほんまに忙しい中、はるばる来てくれたものだと
なんだか無性にうれしくなりました。
「朋遠方より来る有り 亦悦しからずや」
って、ちょっとシチュエーションは違えども、楽しいことに変わりはありません。

病院では、人事異動があり、
これまでお世話になった先生たちが他の病院に移ったり、
新しい先生たちが病院に来たり、
新たな出会いと別れが繰り広げられています。

新たなメンバーでこれまでと同じことをやろうとすると、
とっても大変というか、あまりうまくはいかないと思うのですが、
新たなメンバーなんだから、やることもちょっと新しく変えてみる、
その余裕があれば、結構楽しく働けるんじゃないかな?
なんて思ってみたり。

そして、一番の変化は、
うちに妻と子供が来たこと。
これで、はれて一家3人が同じ屋根の下に暮らすことになりました。

入籍してから1年3ヶ月、ほとんど別居生活だったので、
ようやく待望の毎日なんですが、うまくやっていけるかな。。。
どうしても2対1になって、婿入り状態の自分としては、
やっぱり嬉しさより不安が先に立ちます。

でも、まあ、何とかなる、っていうか、なるようにしかならん。

先日は、初めて、息子と喧嘩しました。
これまでは、何か起こる時はこちらが一方的に怒ってたけど、
初めて、息子が自分の意見を主張するようになった。

こどもはどんどん、すごいスピードで成長するもんですね。
先ほどの人事異動の話じゃないけど、
成長した息子と、これまでと同じ生活ではなくて、
新しい生活を作っていけばいいわけで、
そう考えると、不安より楽しみの方が強くなりました。

あとは、やっぱり、小児科医として働きたい気持は強いですが、
それはもうしばらく封印です。
感染症とか、救急医療とか、
自分の好きな領域を、細々とやるしかないですね。
まあ、釜石での生活が終われば、もう大人を診ることはないと思うので、
貴重な体験として、もうしばらく頑張りましょう。

なんだか、まとまらないままの文章ですが、
新年度早々、そんなにまとまる訳はないので、
変わっていく環境の中、
自分の中の変わらない想いを、改めて確認したい、今日この頃です。

西のおそらへ向かって

2012.03.28.21:14

昨年の2月、まだ僕がMae Tao Clinicで働いていたころ、
このブログで紹介した子がいました。

白血病の男の子。

ずっと、順調に抗がん剤の治療を受けにチェンマイまで通っていたので、
いつかチャンスがあれば顔を見に行こうと思っていたのですが、

昨日亡くなったそうです。

急な知らせでした。

とても残念で、とても悲しくて、そんな気持ちです。

あの子の病気を診断して、本人とご家族に病名を伝えた以上、
あの子のこれからの人生に、僕は責任がありました。

病気の治療に関しては、治療を受けられるようになっていたけど、
それ以外の面で、何かできることはなかったのか。
何かしてあげられなくても、
ただ単に、話がしたかった。

救いだったのは、
大勢の人たちが、あの子を助けるために、一つになって、支えたこと。
彼の周りに大きな輪ができました。

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ご両親の写真です。

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Mae Tao Clinicにて、おねえちゃんと。

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トラックの荷台に乗って、救急車を持っている民営の病院までの移動中。
母の強い愛が、全身から出ています。


Zin Ko, よくがんばったね。
普通の人が一生かかっても体験しないほどの辛い戦いを、
よくがんばりました。

お父さん、お母さん、おねえちゃん、
みんなが助けてくれて、みんなと一緒にいることができて、
よかったね。

もうこれからは、辛い思いはしなくてもいいから、
お空の上から、
大好きだったおかあさんやおねえちゃんを毎日いっぱい見て、
ゆっくり休んでください。

もう一度会って、いろんなお話をききたかったけど、
これからは、西のほうのお空を見るようにします。

久しぶりの結婚式

2012.03.24.21:32

先日、同じ病院・同じ病棟に勤める同僚の看護師の結婚式に呼んで頂きました。

新郎は釜石で働いているわけですが、新婦は大槌の病院の看護婦さん。
入籍は震災前にしていたそうですが、
震災もあり、ようやく式を挙げることができたみたいです。

自分の結婚式を挙げてから10か月、
最初の結婚式でした。

呼んでもらっておいて、なんだか申し訳ないんですが、
なんだか、自分の結婚式を思い出しますね。
様式は違えど、ハートの部分は同じ。
主役とは別の部分で、なんだかじ〜んときてしまいます。

自分の、嫁さんに対する気持ちを再確認。

で、
主役の新郎新婦。
新郎の彼とはいつも同じ病棟で働いているわけですが、
頭がとてもいい人なんですが、
何より、素直で心が熱い!!
いいことはいい、悪いことは悪い。嫌なことはイヤ、
それをとっても素直に、そして全身で表現できる人です。
今はともかく、一病院の一看護師にしておくだけではもったいない。
ていうか、たぶんそのうち自分で飛び出していきそうな、そんな人です。

新婦は、新郎より年上で、連れ子がいて、
なんだか誰かさんとよく似た状況なんですが、
こどもをとっても大事にしてて、
式の途中では、その子に
「ぼくのおとうさんになってくれてほんとうにうれしいです」
なんて手紙を読んでもらって、みんなで号泣でした。

震災のあと、何日間も家族がバラバラで連絡がとれないなか、
がれきをかき分け感動の再会を果たし、みんなで泣きながらよろこんだ、
そんなエピソードも教えてくれました。

やっぱ、あいつは、ええやっちゃな〜

他人の結婚式に出ると、幸せになれるよ、とこれまでよく言われて、
そうかな〜
ふぅ〜ん・・・
ぐらいにしかこれまでは思ってなかったけど、
今回が、一番感動できました。
自分の結婚式をダブらせたこともあるけど、
やっぱり、彼の人柄がそうさせたんだろうな。

一夜漬けで覚えたマルモリダンスをみんなで踊って、
感動をありがとう、をこちらも全身で表現させてもらいました。

4月から、奥さんも同じ釜石の病院に来るそうで、
夫婦で同じ病院で働くところも、
僕と同じ境遇です。

お互い、がんばろう!

ベルトコンベアで走りながら

2012.03.17.22:59

今週は水曜日が当直で、
木曜日は一日働いた後、病院の医師だけで集まっての送別会。
終わる間際に新しい入院患者が入ったと呼び出しがあって、結局帰ったのは深夜。

そしたら、金曜日は、体も心も、ダルダルで、全然動けない・・・
体が重いのなんのって、
いや、実際に体はどんどん重たくなっているのですが・・・

今日土曜日は、病棟の回診をした後は、患者さんが来ない限り仕事はなかったので、
こんな時は、体を動かそう!ということで、
新日鉄が持っている、社員向けのトレーニングルームに行ってきました。
以前、同僚の先生から、
「釜石シーウェイブス(ラグビーチーム)のサポーターになれば、自由に使えるよ」
という情報をゲットして、
今日、念願の初トレーニングルームになりました。

タイのメソットにいた時から、約1年ぶりのジム。
いつも、まずはランニングマシン(ベルトコンベアーみたいなやつ)で走るのですが、

以前と比べ、格段にスピードが遅くなってることに気付きました。
最近、夜の町中や山道でのジョギングをすることがめっきり減ってきたのは確かですが、
それより、普段、全くのマイペースで走ってるから、
どんどんスピードが落ちてきたんでしょう。
ジョギングのはずが、ベルトコンベアの上を真剣にバシバシ走っているような感覚です。

かつてのジョギングのスピードに合わせて、
必死になって走りながら、ふと考えたのですが、
ジョギングにせよ仕事にせよ、
最近、誰かに強制されながら、必死になって何かをする、ということそのものが、
全くなかったな〜って気付きました。
全てがのんびりマイペース。
英語を含め、外国語に至っては、ほとんど勉強すらできていません。

いろんなことに関して、
周りの人を巻き込みながら、
そして、周りの人たちの目線を気にしながら、
もう少し、勉強するなり仕事するなり、がんばりたいですね。
学会で発表するとか、論文書くとか、
本をもっと読んで勉強するとか、
一定の期間に、目に見える形で何らかの成果を残す、
そうありたい、あらねばならない、
自分に甘いから、自分一人で何とかしよう、っていうといつも失敗するから、
いろんな人に自分の見張り役になってもらわないと!

というわけで、やる気だけは、気合い十分な、
春の一日でした。
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プロフィール

ハマダラカ

Author:ハマダラカ
職業:元小児科医、現在なんでも屋的医師を目指して修行中
日本を、そして海外を、自由に移動しては、
働いたり遊んだりの、
自称フリーター医師。
しばらくタイにあるビルマ難民向け病院でボランティアしてましたが
現在岩手県の被災地にある病院に来ました
関西人のつもりですが、心のふるさとは北九州市
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