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ちっちゃなからだ、大きな愛情

2010.10.31.19:11

DSC02067-2.jpg

メータオクリニックでは、
ここ数日、体重が小さな未熟児のお産が続きました。
また、クリニックではなく、
自宅で生まれた未熟児も、
「顔色が悪い」「母乳が飲めない」と、
たくさん入院してきました。

お母さんが妊娠中にマラリアなどの感染症にかかったり、
栄養状態が悪かったり、
他にも、いろいろと
早産や体重が小さい赤ちゃんが生まれる原因が
この地にはあります。
正確な頻度は分りませんが、
日本よりこちらのほうが、早産や未熟児の頻度は高い気がします。

日本だと、早産児や未熟児が生まれると、
とりあえずお母さんから引き離されてNICU(新生児集中治療室)に入院となり、
クベース(保育器)に入り酸素のモニターや心電図をつけられ、
点滴をされて、
連日血液検査やレントゲンや、
その他もろもろの検査を受けることになります。
もちろん、自分が以前働いていたところなど、病院によっては、
極力点滴や検査を減らすように頑張ってるんですが、
全国的にみると、やっぱり「検査に頼ってる」感じが強くあります。
赤ちゃんの場合、体のどこかに異常があっても、
症状となって表れないことが多いので、正直やむを得ないと思ってます。

また、現在は少しマシになりましたが、
少し前までは、どこのNICUでも、
入る人は親だろうがスタッフだろうが、
服を着替え、靴をはきかえ、帽子やマスクをして、
何度も何度も手を洗ったり消毒したり、
もう本当に厳重な扱いでした。

で、ここだと・・・

一応保育器はありますが、
窓が閉まらず、あまり暖かくならない・・・
しゃあないから保育器の中で毛布をぐるぐるに巻いたりしてます。
・・・意味ないやん!!なんていう気もしますが。
たいていは、保育器には入れずに、
生まれたての場合は、お母さんの体にひっつけて
(日本でいうカンガルーケアというものです)
しばらくしてからは、湯たんぽ(笑)と毛布で、
寒さから赤ちゃんを守ります。

大人の患者でも滅多に血液検査なんてしないので、
赤ちゃんなんて、けいれんでもしない限り、
何にも検査はやりません。
というか、ほとんどできません。
未熟児で生まれた赤ちゃんは、
ミネラルのバランスが狂いやすく、
点滴の中のミネラルの量や、点滴で入れる水分の量などを
血液検査の値を見ながら、こまめに計算するのですが、
ここでは、点滴で使うポンプがないので、
点滴の量はポタポタとおちる水滴の数を数えて
だいたいで合わせるしかないし、
点滴の中身も、赤ちゃん一人一人で合わせるのではなく、
みんなおんなじ点滴を使っています。

「新生児黄疸」といって、
赤ちゃんはたいてい生まれた後に黄疸が出て、
それが強いと、光線療法といって特殊な蛍光灯を当てて
黄疸の治療をするのですが、
黄疸の検査もできないから、
始める時も、良くなって治療を終える時も、
基準はなんとなくの「見た目」です。

日本でトレーニングを受けた自分としては、
初めは(今でも)何でもハラハラドキドキでしたが、
案外、みんな元気に大きくなってくれるもんなんですね。
もちろん、残念ながら、
突然亡くなってしまうことも、こちらでは多いのですが。

今日は日曜日だったせいか、
産婦人科病棟で赤ちゃんの回診をしていると、
「自分の息子はどうですか?」と尋ねてくるお父さんがいました。
そのお父さんの赤ちゃんは、体重が1100gの早産・未熟児です。
今日は黄疸の治療中のため、
赤ちゃんは保育器の中で、光線療法中で、
お父さんは、保育器から少し離れたところから、
わが子をじーっと見守っていました。
他にも、1100g~1600gの未熟児が5,6人ほどいますが、
みんな、お母さんに抱っこされながら、
静かに眠ってました。

日本でもそうですが、ここでは、医者が何もできない分、
両親のぬくもりと愛情が、いちばんの治療です。

DSC02051-2.jpg
保育器の中で、黄疸の治療中の1100gの赤ちゃん

DSC01916-2.jpg
カンガルーケア中の生まれたばかりの1500gの赤ちゃん

DSC02057-2.jpg
湯たんぽと毛布でホカホカ 1200gの赤ちゃん

DSC02062=2.jpg
自宅で生まれた、1600gの赤ちゃんを見守るおかあさん
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センセイな仕事・第二弾

2010.10.30.23:01

今日は、僕にとってのでかい仕事がありました。

それは、「センセイ」、つまり、スタッフに対する講義です。

前回は、僕が勝手に企画して、
日常業務の間に外来と病棟の看護師に勝手に講義をしたのですが、
今回は、ビルマの奥地に住むいろいろな少数民族の医療スタッフが
年に1回うちの病院に数週間滞在して、
集中して様々な分野の講義やトレーニングを受けるというプログラムがあり、
僕の担当は、その中の「新生児~小児の疾患」という部分の講義でした。
新生児から5歳まで、ってめちゃめちゃ幅がひろい
時間は、何と丸1日朝9時から、夕方16時まで、
まるで大学の講義そのものです。

当初は気軽に引き受けたものの、
準備するとなって、さあ大変
今回受講される方の中には、
本当に医療器具も薬も限られているところから来ている人もいるし、
大きな病院に患者さんを運ぶことがほぼ不可能な地域から来ている人もいる。
ビルマのインフラの悪さは、それなりに知っていますが、
まあ、ほんまにひどいもんです。

そんなところからわざわざ来ている彼らに、何を話したら役に立つのか、
どんな話を聞きたがっているのか、
そして、一番問題なのは、きちんと自分の話の根拠を提示できるのか、
本当に一週間悩みました

幸い、小児科外来の看護師長が、
以前に同じような内容の講義をしたことがあったとのことで、
スライドをいくつか頂けたんですが、
連日連夜、パソコンに座って、インターネットでひたすら文献を探し、
ネットカフェにファイルを持って行ってプリントアウトして、
それを読みながら、
スタッフも薬も医療器具も限られた環境で、
どのように患者を診断して治療することが世界的にスタンダードなのか、
いまさらながら勉強しました。
そこには、当たり前ですが
日本の医療とは全く別の世界の医療の話が書かれてあります。

昨日、メソットに来て初めて徹夜して120枚ぐらいのスライドを作り、
今日はなんとか無事に講義をすることができました。
実は、講義には、このプログラムのコーディネーターである、
アメリカ人のベテランの産婦人科医が来てて、
その道の専門家の前で、まさに釈迦に説法状態で講義をしたので、
何を突っ込まれるのか、ドキドキびくびくしながらの講義でした。
徹夜で作ったスライドには、
無数に恥ずかしい間違いがありましたが、
最終的には、受講生そっちのけで、
自分が真剣に勉強できたのが一番良かった。
そして、それぞれが働いている村や集落で、
困っている症例とか疑問点をみんなで一緒に話し合ったりもできて、
本当に勉強になった1日でした。
(ちなみに、人口400人ぐらいのとある村では、
ここ1週間で麻疹が大流行してて、
1歳以下の子供が8人も亡くなったそうです。)
真面目にノートをとって聴いてくれた受講生にはほんまに感謝です。

実は、病棟でも、いろいろ悩ましい患者さんが多くて、
講義の前も、お昼休みも病棟に行き、
15時半に講義が終わってからも重症の患者の検査や処置があり、
夕方16時からようやく小児科と新生児の
全患者の回診ができたような状態で
ろくにご飯も食べれなかったけど、
逆に緊張感をずっと保ててよかったかも。
家に帰ると、一気に緊張がぬけてしまいましたが。
大家さんに晩御飯を分けてもらえて、幸せでした。

そして、何より、
今日、講義ができて、いっぱい勉強ができて、ほんまに幸せです

近いうちに、病棟での出来事も書くようにしますね

危機一髪!

2010.10.29.01:41

今日、いつものように遅刻しながら病院に行って、
新生児の回診を終えたころ、婦人科の先生と看護師長さんが、
あわてた顔で病棟に駆け込んできました

「重症の肺炎!」って叫んで連れてこられた、
生後一か月になるその子は、
顔が真っ青を通り越してお地蔵さんのような黒い色
血液の酸素飽和度(サチュレーション)はなんと59%
がんばって呼吸をしようとはしてますが、手足は冷たくなり、
今にもアウトになりそうな状態。

こんな時、呼吸ができなくなった原因として、主に
1)肺の問題
2)心臓の問題
があって、(1)だと、酸素を大量に吸わせないといけないし、
(2)だと、酸素を吸わせてはいけないことが多いので、
治療法が正反対になってしまいます。
緊張しながら肺と心臓の音を聴くと、
心臓の音は正常で、肺の音は、雑音だらけで、か細い音しかせず、
どうも(1)の肺の問題みたい。
いわゆる「重症の肺炎」でよさそうです。

治療方針が決まったので、とりあえず酸素を吸わせて、
冷たくなった手に緊張しながら点滴を入れて、
なんとか、皮膚の色はピンクになってくれました。
ふーっ

肺炎の原因は分りませんが、おそらく、RSウイルスという、
この前も出てきた、子供には厄介なウイルスでしょう。

とりあえず、一命はとりとめたものの、
日本だと、間違いなく集中治療室で人工呼吸器を使うような、
とっても重症な肺炎。
これからも、いろいろ合併症が起こるかもしれないし、
起こらなくても、ここまでの肺炎だと、
治るまで時間はかかりそう。
治ってからも、肺や気管が痛んでしまうと、
今後も肺炎や気管支炎を何度も繰り返してしまいます。

でも、まずは、助かったことに感謝。
とても口から母乳を飲める状態ではありませんが、
口から胃の中に入れたチューブを使って、
お母さんの母乳を消化して、
お母さんから力をもらって、
何とかがんばってほしいものです。
DSC02018-2.jpg

足元に注意

2010.10.25.14:11

僕が私用で日本に帰ってくる途中、
タイの中~北部は水浸しでした。

バスが、水浸しの道路をゆっくりとザブザブいいながら走っていき、
「これ、エンジンが水を吸って止まったら、
乗客みんなで泥水の中バスを押さなきゃいけないな~
なんて思いながら、真夜中でも眠れずにバスに乗ってました。

先週も、テレビのニュースは連日洪水のニュースばかりで、
まじめなニュースから、
イケメン数人とかわいい女の子数人が、ヘルメットとジャケットを着て、
笑って手を振りながら車に乗り込んで被災地にレポート?に向かうシーンとか、
いろんな場面が流れてました。

幸い、タイ政府の力はしっかりしていて、
適切な救援活動が行えてるように見えましたが、
やっぱり、家の中が水浸しになるのは大変です。

奄美でも、大雨のニュースがありましたね。
近年、「ゲリラ豪雨」のニュースが増えて、
確かに、熱帯のような局地的な大雨が増えた気もしますが、
僕の生まれた岐阜県南部は、
揖斐川、長良川、木曽川と大きな川がいっぱい流れてて、
当たり前のように洪水があるところで
昔の民家には、必ず避難用の舟がありました。
岐阜に限らず、洪水は決して珍しいニュースではなかった気がします。

どちらかというと、災害が起きそうなときは、
仕事を早く切り上げて家で待機する、
災害が起きてしまったら、地域の住民で助け合って避難する、
そういったことが、だんだん難しくなってきたから、
災害の被害が強調されてるんじゃないかな~なんて思います。
そういう自分も、今のアパートの周辺に住んでる方は
全然知らない状況です。

何が突然起きても対処できる、普段からの準備、
何よりいろんな人とのつながりと、
何が起きても、余裕を持って対処できるような
予定のフレキシブルさと、
そういった単純で基本的なことの重要さを
ふと気づかされたりします。

記者会見

2010.10.24.17:05

今日は、みなさんに、発表したいことがあります。

実は、年末に、結婚することになりました。

相手は、日本人の助産師さんです。
この前9月にメソットまで文房具の山をがんばって持ってきた人で、
いろいろ手伝ったり話したりしているうちに、
気が合う人やな~って、とんとん拍子で付き合うことになり、
とんとん拍子で結婚することになりました。

自分のことをよく理解してくれて、
それに対して深いレベルでいろいろと彼女の意見を言ってくれて、
話していると、本当に楽しいと思える人です。
豊富な知識、というわけではなくて、
自分や、自分の周りの人たちの
考えてること、やりたいこと、障害になってることを
深く深く掘り下げて、
見つけたり、分析したり、
そうすることで、
お互いにうすうす感じていたことを、
お互いがはっきり理解することができるんですね。
だから、いっぱい話し合うことで、
いろんな物事が進んでいきます。

彼女は、10歳年上で、5年生の男の子がいて、
でも、全然そんなことは感じさせない。
自分の年齢とか、子どもがいるとか、そのことが、
全然足かせになっていないんです。
記録だけ見ると、シングルマザーでがんばって長年子どもを育てて、
「苦労する母」のように映るけど、
実際の二人を見ると、二人とも、人生を思いっきり楽しんでいて、
傍から見てると、めっちゃ幸せになれます。

実は、今週末は日本に帰ってて、実際に相手の顔をみながら
いろんな打ち合わせをしたんですが、
とりあえず、年末にお互いの家族に挨拶に行き、入籍だけして、
子どもをどこで育てるか、とか
(親が育てるというより、親をさし置いて勝手に育っていきそうな、賢い子どもですが)
いつから一緒に住むか、とか、
お金はどうするか、とか
一つずつ目の前の、小さくはないけど解決できるだろう問題を、
ゆっくりと考えていこうと思います。

「公共の電波」で、めっちゃプライベートなことを書いて、
少し申し訳ないというか、
もっとメータオでの仕事に集中して打ち込めとか、
そういったお叱りもあるかと思いますが、
結婚することで、現在の仕事も今後の仕事も
より豊かに、より楽しめるように、
可能性は間違いなく広がると思っています。
なので、
今回、皆さんにご報告した上で、
またここでの仕事を「楽しんで」いこうと思います。

そういうことで、よろしくお願いいたします。

パキスタン流・効率のいい仕事の方法

2010.10.20.23:04

今回は、パキスタン編の最後の記事を書きます。

パキスタンに限らず、途上国に行くと、
よく経験するんですが、
いろいろ地元の人といっしょに仕事をしようとすると、
たいてい、向こうは時間通りに来ません。
「雨が降ったから」
「交通渋滞があったから」
なんて、ホンマかいな?な言い訳をしたり、
単に笑って「ノープロブレム
とうまくごまかされたり。
ちなみに、途上国の人が
「ノープロブレム」と言ったら、
必ずと言っていいほどプロブレムと遭遇できます

この辺が、時間に厳しい世界で生きてる人たち、
特に日本人、アメリカ人、ドイツ人などからすると、
「なんでやねん!?」のオンパレード。

で、何でよく遅れるかと言うと、
時間を守ろうという意識が低いのがもちろんあるんですが、
実際に自分がいろいろ仕事をしようとすると、
いろんなところで、なが~い話が始まります。
「よく来たね~」から始まって、
「とりあえずお茶でも飲んでけ」
「俺の知り合いに日本で働いた奴がいて・・・」
「今夜飯でも食おう」
「うちに泊まっていけ」
・・・・・
などなど。

1時間ぐらいしてようやくお茶が出てきたりします。

こんな調子だと、そりゃ~遅れるわ。

でも、こうやって一緒にお話したり、飯を食ったり、
今、目の前にいる人を一番大切にする、
というのも、慣れるとなかなか素敵なものです。
そうやって、いろんな人と話をしていくうちに、
どんどん予定の時間は遅れていくんですが、
でも、目の前の人に寂しい思いをさせてまで、
守らないといけない約束なのか?
その用事は明日でもいいんとちゃう?
なんて、つい思っちゃったりするんですよね。

そして、こうやってできた人と人との繋がりは、
思わぬところで、助けてくれたりします。
多分、仕事上の付き合い程度の人と話してて、
突然自分が倒れたとしたら(極端な仮定やけど)
相手が介抱してくれる率は、パキスタンのほうが日本より高そう。
別に倒れたりしなくても、
お金がなくて食べるものがなかったり、
道に迷ったり、
どうしても仕事でうまくいかないところがあったり、
そういう時に、
「じゃあ俺がなんとかしてやるよ」
「俺の知り合いに○○ができるやつがいるから、そいつに頼んでみるよ」
なんて、まさに渡りに舟のようなタイミングで
助けてくれます。

予め綿密な予定を立てて、
時間通りにモノを進めるのは、もちろん効率はいいですが、
おもわぬハプニングのときに、
余裕がなさすぎて、どうにもならなかったりする。
(だからこそ、いろんなハプニングを想定して備える訳ですが)

みなさんは、どちらの進め方が好きですか?
ちなみに、途上国方式では、
ピンチにならないと、助けが来ないことも多いので、
そのつもりで。

長梅雨

2010.10.19.02:28

タイに戻って一週間。
毎日雨が降ってます
しかも、結構激しく

本来なら、そろそろ雨季が明けてるはずなんやけど、
タイのテレビでは、毎日洪水のニュースばかり。
タイでは、洪水なんて日常生活の一環なのかもしれませんが。

そんな中、このクリニックでは、
この一週間の間に、
重病の子ども達がいっぱい外来にやってきて、
ついに、大病院に搬送する予算も人も車も
全部使い切ってしまい、、
1月半ばまでは、新しい患者さんを搬送することが
できなくなってしまいました。
ちょうど、重たい心臓病の赤ちゃんが、息も絶え絶えに外来に来て、
最後のイスをなんとか確保して、
翌日大病院に搬送できたんですが、
同じ日に入院した、おなかが膨れ上がった赤ちゃんは、
その翌日に肝臓のガンだと診断がついて、
大きな病院で治療を受けさえすれば、
ほぼ確実に命を助けることができたのですが、
それができない状況となってしまい、
お母さんにその事実を伝えたところ、
お母さんは、あふれる涙をこらえながら、
自宅で看取ることを選び、その日の夜に退院していきました。

話によると、貧しい家計のため、
お母さんは、
子どもの世話をおばあちゃんや近所の人に任せて、
タイのこの町に出稼ぎに来てたみたいで、
入院してる間は、そのお金で買ったのか、
キレイな枕に立派なコートを着せてました。
ほとんど子どもの世話もできず、
病気の知らせを聞いて慌てて病院に連れてきて、
そんなお母さんに、
いろいろ検査をしたあげく、治療はできない、
なんて言うのは本当に辛いし、
何より、お母さんやお父さんに、
何も声をかけてあげられなかったことが、
本当に残念でした。
DSC01915-3.jpg

病気の治療だけが医療ではないのに、
手の届かない治療の話しかできなくて、
言葉がしゃべれなくても、何かできたんじゃないか、
あるいは、もっとまじめに勉強していれば
もっと言葉がしゃべれたんじゃないか、
こんなに悔しい「病状説明」は、初めてかもしれません。

降りしきる雨の中、
ビルマのジャングルの中の自宅で、家族みんなそろって、
残された時間を少しでも幸せにすごしてくれるように、
国境を流れる、増水した川の反対側から
ただただ祈るばかりです

言葉の壁、文化の壁

2010.10.15.20:42

緊急救援活動で、何が一番大変か、と言われると・・・

連日のハードスケジュール?・・・それもある。

日程を空けるのが大変?・・・去年は勤務先の方にひたすら恐縮&感謝でしたが、
今年はぷー太郎なんで、気が楽です。

言葉が通じないこと?・・・確かに、患者さんと直接会話ができないのは、
小児科医としては致命的に痛いことですが・・・
でも、一番大変なのは

「文化の壁、習慣の壁」を乗り越えなあかんことです。

たとえば、今回、「14日間熱が出てます」といって来た患者さん、
日本の病院でこんな訴えを聞くと、重病かも、と
警戒モードになりますが、
大半は、すっかり熱が下がって元気になってて、
正確には、
「14日前に熱がでたけどもう下がってます」
な状態なんだけど、
何せ、医療者と会話をしたことがない人が大半だから、
自分のや子どもの症状をどう訴えていいか分からない人ばかり。

6ヶ月の子どもの親が、
「この子が腹痛があるから来ました」
えっ??6ヶ月の子のおなかが痛い、なんて何で分かるの?と聞くと
「なんとなくそういう気がするから」
「・・・・・」
一つ一つの単語の意味を翻訳するだけでは、
この会話の意味は伝わりません。

診察するときも、
体温計の使い方なんてみんな知らないし、
(パキスタンの服は、脇に体温計を入れるのが大変!
しかも、親が押さえてくれないから体温計がいつのまにか落っこちてること多し)
そもそも聴診器を当てる、という行為を
生まれて初めて見る、あるいは体験する人ばかりだし、
そして、子どもが泣くと、「かわいそう」と言って
帰ろうとする人がほとんど。
確かに、自分の子どもが泣かされていい顔をする親なんていませんが、
注射とか病院や歯医者での診察では、子どもは泣いて嫌がるもの、
という日本の考えは通用しません
(元気な子どもは、好奇心旺盛なのでむしろ遊んだりしてますが、
しんどい子どもはそんな余裕がないので、
知らない人が近づいたり、じっとすることを強要されると
怖がって泣いちゃうんですよ・・・
病院の建物の問題でも、白衣の色やデザインの問題でもない気がする)

そして、やっぱり、根本的につらいのが、
我々は、限られた病気に対してだけ、しかも、数日間しか。
薬が出せないこと。
高血圧とか糖尿病とか、他にもリウマチのような病気とか、
一生薬を飲み続けないといけないような病気の患者さんに、
数日分だけ薬を出すことに、どれだけ意義があるのだろうか?
これらの患者さんに、病院に行って治療を受けるだけの
時間的、体力的、金銭的余裕はありません。
地元のNGOの人は
「何でもいいから薬を出しさえすれば、
みんな精神的に治るような気がするからからいいんだよ~」
って言うけど、それって、
上手に使うと、患者さんの病気も治るし精神的にもハッピーだからいいけど、
一歩間違えたらサギだよ、ということで、
薬が効かないって分かってる病気の人には、
NGOの人を説得して、薬は出さずに、
日常生活でできることを、詳しく説明しました。

病院とは全く無縁の生活を送る中で、
少しでも症状を軽くするために、何ができるか、
地味で、全くありがたみがない治療だけど、
そして、なかなか守るのが難しい治療だけど、
生活習慣の改善なくしては、
どんな病気にどんな薬を使っても、
病気は良くならないんだよね~

パキスタンでの実際の活動

2010.10.15.01:08

今回は、パキスタンで実際に何をしてたのか、一日の流れを説明します。

今回は、AMDAの日本、インドネシア、バングラディシュの支部から、
医師や看護師、調整員が集まってチームを作りました。

チーム全体で一軒の家を借りて、そこで寝泊りしてました。
DSC00156-2.jpg
建てかけ中の家で、2階部分だけができていて、2階部分は屋上状態。

中はこんな風になってます。
DSC00169-2.jpg DSC00170-2.jpg
リビングの壁に、現地で調達した薬が箱ごと山積みになってます。

だいたい、朝6~7時ぐらいにみんな起きて、各自勝手に朝ごはん。
僕は、たいていカレー、あればそこにラーメンを載せてました。
お昼ごはんは食べれないことが多いから、食いだめ!しとかないと

われわれの活動は、決まった場所にテントをたてて診察をするのではなく、
現地のNGOの方と、医療支援の届いていない地域や集落を選んで、
日替わりで出張する、モバイルクリニックというものをやってました。
場所の選定から車やドライバーの手配、通訳の確保といったことは、
調整員という職種の方が、ろくに眠るまもなく奔走してくださいました。
この方が、われわれの調整員です
DSC01125-2.jpg
ちなみに、後ろの白いものは、被災者のテント。
このテント集落での活動を終えて撮った写真です。

使うのは、ピックアップトラックの荷台を改造した、
途上国でよく見る形の車です。
これに10人ぐらいと薬の山を押し込んで、出発!!
DSC00172-2.jpg

ただいま、洪水で流されて、修理したての道路を疾走中。
両脇には洪水の時の水がまだたまってて、
一雨降れば、すぐに流されそうな道です・・・
DSC01152-2.jpg

車で1~2時間、激しく揺られて現地に到着すると、
山のような薬を降ろして、臨時診療所を開設です。
DSC00954-2.jpg
この写真の二人は、日本とバングラの看護師で、
主に服薬指導や処置の介助をして頂きました。

そして、準備をしつつ、患者さんの受付をします。
DSC00950-2.jpg  DSC00955-2.jpg
だいたいこの時点で、既に11時半ぐらい。

これが診察中の写真。
当然ですが、自分も診察しているので、あまり写真は撮れなかった・・
DSC01103-2.jpg DSC01108-2.jpg
なんて言いながら、なぜか自分の写真があったり・・(笑)
ちなみに、服は長袖必須です。日差しが当たると、日焼けを通り越してヤケドします!!

そして、1日150人ぐらい診ると、だいたい終了。
なぜか地域や被災者のリーダー(町内会長みたいなもんか)と
歌ったり踊ったりすることも・・・
DSC00461-2.jpg

DSC00481-2.jpg

帰りは、もちろん爆睡・・・
DSC01164-2.jpg

夕方5~6時ごろに帰って、まずはシャワーと洗濯。
そして、データの集計や、次の日の薬の準備など、
みんなそれぞれ役割を分担して、まだまだ働きます。
晩御飯は、夜の8時から10時ぐらい。やっぱりカレー。
でも、インドやパキスタンのカレーって、ほんとうにうまい!!

地図が変わるということ

2010.10.12.03:00

パキスタンに着いて、一番驚いたこと。

それは、洪水から一ヶ月以上たっているのに、
未だに冠水しているところがあることでした。
それも、水溜りレベルではなく、まさに、湖というか、海
DSC01518-2.jpg
これは、まさに「浸水」しているレンガ工場

街の中の建物の壁には、高さ1~2mぐらいのところに、
冠水がピークだったころについた泥の跡が
一様に残っていて、
だんだん水位が下がるにつれてできたしましま模様になってます。
この写真は、ようやく水が引いて、人が戻り始めた団地の建物。
DSC01475-2.jpg


郊外の水田や畑が広がる地域に行くと、
見渡す限り水が広がってるところが、
ここにも、10kmほど車を走らせると、そこにも、
という感じで、
電信柱が寂しそうに、傾いたまま立ってたりします。
ここにも
DSC01253-2.jpg
そこにも
DSC01420-2.jpg


これは、洪水で破壊されて、門だけ残った鶏舎です。
DSC00982-2.jpg


インダス川というと、世界○大河川のひとつ、
かどうかは分かりませんが、
こんな大河が氾濫すると、
「冠水」というよりは、
地形そのものが変わってしまうんですね。
昔、小学校だか中学校の社会の教科書で、
「昔、大きな川が氾濫した後に、三日月湖ができます」
みたいなことを習いましたが、
まさに、それを目の当たりにすると、
これほどすごいのかと、ただひたすら驚くばかりです。

未だに冠水しているところが、
今後いつ水がひくのか、あるいは本当に湖になってしまうのか、
それは誰にも分かりません。
誰にも分からないということは、
そこに住んでいた人や、そこで働いていた農家の人たちが、
いつ、家に帰れるのか、
いつ、畑仕事ができるのか、
見通しが立たない、ということです。

今回、8月に洪水があって、
パキスタンで大きな被害が出たというニュースが流れ、
でも、もうすっかり過去の話になり、
未だに冠水してどうにもならない人が多数いる、なんて
現地に行って見てみないと、想像できないと思います。
みなさんにお伝えするためにも、早く写真をupしなきゃ

この人の集落は、この写真の奥のほうになります。
そこで医療活動をするため、この人が、
道が大丈夫か確認するために歩いて先導してくれました
DSC01567-2.jpg

今後の復旧作業は、この道のように、先が見えない地域が残されています

潤いのタイ

2010.10.11.00:30

みなさん、お久しぶりです。
昨日、パキスタンでの救援活動を終えて、
本日夜にタイに帰って参りました。

いやあ、やっぱり、自分のうちは、いいですね~

なんだかんだで、やっぱり、
短期間で見知らぬ人たちと過密スケジュールで働くのは、
かなり疲れます。
車や泊まる所、食事、活動場所の決定などをしてくださった日本人の調整員、
救援に駆けつけたバングラデシュやインドネシアの医師、看護師、
そして、われわれ外人を受け入れて、通訳や現地の人たちとの調整をしてくれた現地のNGOの方、
みんな真剣なだけど、働き方や考え方はばらばらで、
その「最大公約数」のレベルで、
それぞれが最大限にがんばるというのは、
ほんとうに気を遣う作業です。

パキスタンでは、連日40度を超える暑さの中、
砂埃にまみれ、泥水シャワーで体と服を洗い、
朝晩カレーで生活して、
それはそれで、ぜんぜん気にならないんやけど、
タイに帰ってきて、
久しぶりに炒めた野菜を食べて、雨を浴びて、
パキスタンになかった潤いを感じました。
考えれば、パキスタンに行く直前にこの地でパソコンを盗られ、
日本に数日滞在してからパキスタンに行ったんですが、
今ではこっちのほうが、心を許せる感じ。
何事にも追われない、いい加減な生活が許されるからかな・・

さて、順次、パキスタンでの出来事をupしようと思いますが、
なんせ、今のパソコン、
写真を一枚取り込んで見るだけで一苦労で、
ブログ用に圧縮するとかネットにupするとなると、
かなり時間がかかってしまう・・・
忘れないうちに記事だけを書こうと思うので、
写真が遅くなるかもしれません。。。
ちなみに、僕が所属しているのはAMDAというNGOで、
そちらのHP(http://amda.or.jp/)を見ていただけると、
僕の写真が載ってるらしい。
(僕は見てないけど)
いちおう、証拠写真ということで

まだまだ精神的には混乱してますが、
とりあえず、明日から、メータオ・クリニックでの診療を再開します。

本当の「緊急」

2010.10.03.16:12

8月上旬におきた洪水の被災者の支援のため、
ただいまパキスタン南部に来てます。

パキスタンって、貧しい国なんですね。
建物も、人々の服装も、道路も、
インドよりワンランク貧しくなった感じです。
車も多くはインドで使い古された車のお古みたいな感じです
(インドで走ってる車もそうとう使い古されてますが)

パキスタンには、インダス川という世界有数の大河があって、
その恵みでお米や小麦など、かなりの農作物がとれるんですが、
ひとたび洪水を起こすと、そのあとが大変!
2ヶ月近くたってるのに、未だに冠水している地域がある!!
そんなわけで、大勢の被災者が、
未だに自分の村に帰ることができずにテントで暮らしています。

われわれ外国からの”医療団体”が訪れると、
何でもないけど外国から来た医者を見たい人から、
重症の人まで、いろんな人が集まってきますが、
意外とカゼや下痢の患者さんは少なくて、
拍子抜けした感じがあります。
「結膜炎(おそらくアデノウイルスでしょう)が流行ってる」
なんて情報が当初はありましたが、
さすがに2ヶ月近くたった今では、
流行性のウイルス性疾患なんてほとんどみません。
マラリアもほとんどいなかった。

でも、去年のスマトラ島の地震の時と比べると、
圧倒的に、子供たちの栄養状態が悪い。
「おなかがふくれて、元気がなくてご飯をあまり食べない・・・」
って来る子供たちが多いですが、
たいていは栄養不良でガリガリで、おなかだけが出てる・・
数日分の薬で治せるものではありません。

ここ数年、世界的に米や小麦といった、
基本的な農作物が値上がりしてて、
貧しい人たちの生活を文字通り直撃してます。
さらに、今回の洪水で、パキスタンの大穀倉地帯も被害を受けて、
海に近いところでは、塩分が田畑にばら撒かれてしまって、
今年のみならず来年の収穫も心配です。
収穫が落ちてさらに値上がりするようなことがあれば、
貧しい人たちが「主食」を買うことができない、悲惨な事態も起こりえます。

日々の食事に困らない人たちが
核ミサイル作ったり戦争やテロを始めたりするなかで、
日々の食事さえ困ってる人たちのことを、
もう少し考えてほしいなあ、としみじみ思います。
基本的な栄養状態は全ての健康問題の基本です。

ここで食べる食事は、
カレーもお肉もお魚も、
ホンマにおいしいんだけどな~
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♥. ♠. ♣Alice
プロフィール

ハマダラカ

Author:ハマダラカ
職業:元小児科医、現在なんでも屋的医師を目指して修行中
日本を、そして海外を、自由に移動しては、
働いたり遊んだりの、
自称フリーター医師。
しばらくタイにあるビルマ難民向け病院でボランティアしてましたが
現在岩手県の被災地にある病院に来ました
関西人のつもりですが、心のふるさとは北九州市
facebookはこちら↓
Toru Yoneda

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