ちっちゃなからだ、大きな愛情
2010.10.31.19:11

メータオクリニックでは、
ここ数日、体重が小さな未熟児のお産が続きました。
また、クリニックではなく、
自宅で生まれた未熟児も、
「顔色が悪い」「母乳が飲めない」と、
たくさん入院してきました。
お母さんが妊娠中にマラリアなどの感染症にかかったり、
栄養状態が悪かったり、
他にも、いろいろと
早産や体重が小さい赤ちゃんが生まれる原因が
この地にはあります。
正確な頻度は分りませんが、
日本よりこちらのほうが、早産や未熟児の頻度は高い気がします。
日本だと、早産児や未熟児が生まれると、
とりあえずお母さんから引き離されてNICU(新生児集中治療室)に入院となり、
クベース(保育器)に入り酸素のモニターや心電図をつけられ、
点滴をされて、
連日血液検査やレントゲンや、
その他もろもろの検査を受けることになります。
もちろん、自分が以前働いていたところなど、病院によっては、
極力点滴や検査を減らすように頑張ってるんですが、
全国的にみると、やっぱり「検査に頼ってる」感じが強くあります。
赤ちゃんの場合、体のどこかに異常があっても、
症状となって表れないことが多いので、正直やむを得ないと思ってます。
また、現在は少しマシになりましたが、
少し前までは、どこのNICUでも、
入る人は親だろうがスタッフだろうが、
服を着替え、靴をはきかえ、帽子やマスクをして、
何度も何度も手を洗ったり消毒したり、
もう本当に厳重な扱いでした。
で、ここだと・・・
一応保育器はありますが、
窓が閉まらず、あまり暖かくならない・・・
しゃあないから保育器の中で毛布をぐるぐるに巻いたりしてます。
・・・意味ないやん!!なんていう気もしますが。
たいていは、保育器には入れずに、
生まれたての場合は、お母さんの体にひっつけて
(日本でいうカンガルーケアというものです)
しばらくしてからは、湯たんぽ(笑)と毛布で、
寒さから赤ちゃんを守ります。
大人の患者でも滅多に血液検査なんてしないので、
赤ちゃんなんて、けいれんでもしない限り、
何にも検査はやりません。
というか、ほとんどできません。
未熟児で生まれた赤ちゃんは、
ミネラルのバランスが狂いやすく、
点滴の中のミネラルの量や、点滴で入れる水分の量などを
血液検査の値を見ながら、こまめに計算するのですが、
ここでは、点滴で使うポンプがないので、
点滴の量はポタポタとおちる水滴の数を数えて
だいたいで合わせるしかないし、
点滴の中身も、赤ちゃん一人一人で合わせるのではなく、
みんなおんなじ点滴を使っています。
「新生児黄疸」といって、
赤ちゃんはたいてい生まれた後に黄疸が出て、
それが強いと、光線療法といって特殊な蛍光灯を当てて
黄疸の治療をするのですが、
黄疸の検査もできないから、
始める時も、良くなって治療を終える時も、
基準はなんとなくの「見た目」です。
日本でトレーニングを受けた自分としては、
初めは(今でも)何でもハラハラドキドキでしたが、
案外、みんな元気に大きくなってくれるもんなんですね。
もちろん、残念ながら、
突然亡くなってしまうことも、こちらでは多いのですが。
今日は日曜日だったせいか、
産婦人科病棟で赤ちゃんの回診をしていると、
「自分の息子はどうですか?」と尋ねてくるお父さんがいました。
そのお父さんの赤ちゃんは、体重が1100gの早産・未熟児です。
今日は黄疸の治療中のため、
赤ちゃんは保育器の中で、光線療法中で、
お父さんは、保育器から少し離れたところから、
わが子をじーっと見守っていました。
他にも、1100g~1600gの未熟児が5,6人ほどいますが、
みんな、お母さんに抱っこされながら、
静かに眠ってました。
日本でもそうですが、ここでは、医者が何もできない分、
両親のぬくもりと愛情が、いちばんの治療です。

保育器の中で、黄疸の治療中の1100gの赤ちゃん

カンガルーケア中の生まれたばかりの1500gの赤ちゃん

湯たんぽと毛布でホカホカ 1200gの赤ちゃん

自宅で生まれた、1600gの赤ちゃんを見守るおかあさん
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