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言葉の壁、文化の壁

2010.10.15.20:42

緊急救援活動で、何が一番大変か、と言われると・・・

連日のハードスケジュール?・・・それもある。

日程を空けるのが大変?・・・去年は勤務先の方にひたすら恐縮&感謝でしたが、
今年はぷー太郎なんで、気が楽です。

言葉が通じないこと?・・・確かに、患者さんと直接会話ができないのは、
小児科医としては致命的に痛いことですが・・・
でも、一番大変なのは

「文化の壁、習慣の壁」を乗り越えなあかんことです。

たとえば、今回、「14日間熱が出てます」といって来た患者さん、
日本の病院でこんな訴えを聞くと、重病かも、と
警戒モードになりますが、
大半は、すっかり熱が下がって元気になってて、
正確には、
「14日前に熱がでたけどもう下がってます」
な状態なんだけど、
何せ、医療者と会話をしたことがない人が大半だから、
自分のや子どもの症状をどう訴えていいか分からない人ばかり。

6ヶ月の子どもの親が、
「この子が腹痛があるから来ました」
えっ??6ヶ月の子のおなかが痛い、なんて何で分かるの?と聞くと
「なんとなくそういう気がするから」
「・・・・・」
一つ一つの単語の意味を翻訳するだけでは、
この会話の意味は伝わりません。

診察するときも、
体温計の使い方なんてみんな知らないし、
(パキスタンの服は、脇に体温計を入れるのが大変!
しかも、親が押さえてくれないから体温計がいつのまにか落っこちてること多し)
そもそも聴診器を当てる、という行為を
生まれて初めて見る、あるいは体験する人ばかりだし、
そして、子どもが泣くと、「かわいそう」と言って
帰ろうとする人がほとんど。
確かに、自分の子どもが泣かされていい顔をする親なんていませんが、
注射とか病院や歯医者での診察では、子どもは泣いて嫌がるもの、
という日本の考えは通用しません
(元気な子どもは、好奇心旺盛なのでむしろ遊んだりしてますが、
しんどい子どもはそんな余裕がないので、
知らない人が近づいたり、じっとすることを強要されると
怖がって泣いちゃうんですよ・・・
病院の建物の問題でも、白衣の色やデザインの問題でもない気がする)

そして、やっぱり、根本的につらいのが、
我々は、限られた病気に対してだけ、しかも、数日間しか。
薬が出せないこと。
高血圧とか糖尿病とか、他にもリウマチのような病気とか、
一生薬を飲み続けないといけないような病気の患者さんに、
数日分だけ薬を出すことに、どれだけ意義があるのだろうか?
これらの患者さんに、病院に行って治療を受けるだけの
時間的、体力的、金銭的余裕はありません。
地元のNGOの人は
「何でもいいから薬を出しさえすれば、
みんな精神的に治るような気がするからからいいんだよ~」
って言うけど、それって、
上手に使うと、患者さんの病気も治るし精神的にもハッピーだからいいけど、
一歩間違えたらサギだよ、ということで、
薬が効かないって分かってる病気の人には、
NGOの人を説得して、薬は出さずに、
日常生活でできることを、詳しく説明しました。

病院とは全く無縁の生活を送る中で、
少しでも症状を軽くするために、何ができるか、
地味で、全くありがたみがない治療だけど、
そして、なかなか守るのが難しい治療だけど、
生活習慣の改善なくしては、
どんな病気にどんな薬を使っても、
病気は良くならないんだよね~
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パキスタンでの実際の活動

2010.10.15.01:08

今回は、パキスタンで実際に何をしてたのか、一日の流れを説明します。

今回は、AMDAの日本、インドネシア、バングラディシュの支部から、
医師や看護師、調整員が集まってチームを作りました。

チーム全体で一軒の家を借りて、そこで寝泊りしてました。
DSC00156-2.jpg
建てかけ中の家で、2階部分だけができていて、2階部分は屋上状態。

中はこんな風になってます。
DSC00169-2.jpg DSC00170-2.jpg
リビングの壁に、現地で調達した薬が箱ごと山積みになってます。

だいたい、朝6~7時ぐらいにみんな起きて、各自勝手に朝ごはん。
僕は、たいていカレー、あればそこにラーメンを載せてました。
お昼ごはんは食べれないことが多いから、食いだめ!しとかないと

われわれの活動は、決まった場所にテントをたてて診察をするのではなく、
現地のNGOの方と、医療支援の届いていない地域や集落を選んで、
日替わりで出張する、モバイルクリニックというものをやってました。
場所の選定から車やドライバーの手配、通訳の確保といったことは、
調整員という職種の方が、ろくに眠るまもなく奔走してくださいました。
この方が、われわれの調整員です
DSC01125-2.jpg
ちなみに、後ろの白いものは、被災者のテント。
このテント集落での活動を終えて撮った写真です。

使うのは、ピックアップトラックの荷台を改造した、
途上国でよく見る形の車です。
これに10人ぐらいと薬の山を押し込んで、出発!!
DSC00172-2.jpg

ただいま、洪水で流されて、修理したての道路を疾走中。
両脇には洪水の時の水がまだたまってて、
一雨降れば、すぐに流されそうな道です・・・
DSC01152-2.jpg

車で1~2時間、激しく揺られて現地に到着すると、
山のような薬を降ろして、臨時診療所を開設です。
DSC00954-2.jpg
この写真の二人は、日本とバングラの看護師で、
主に服薬指導や処置の介助をして頂きました。

そして、準備をしつつ、患者さんの受付をします。
DSC00950-2.jpg  DSC00955-2.jpg
だいたいこの時点で、既に11時半ぐらい。

これが診察中の写真。
当然ですが、自分も診察しているので、あまり写真は撮れなかった・・
DSC01103-2.jpg DSC01108-2.jpg
なんて言いながら、なぜか自分の写真があったり・・(笑)
ちなみに、服は長袖必須です。日差しが当たると、日焼けを通り越してヤケドします!!

そして、1日150人ぐらい診ると、だいたい終了。
なぜか地域や被災者のリーダー(町内会長みたいなもんか)と
歌ったり踊ったりすることも・・・
DSC00461-2.jpg

DSC00481-2.jpg

帰りは、もちろん爆睡・・・
DSC01164-2.jpg

夕方5~6時ごろに帰って、まずはシャワーと洗濯。
そして、データの集計や、次の日の薬の準備など、
みんなそれぞれ役割を分担して、まだまだ働きます。
晩御飯は、夜の8時から10時ぐらい。やっぱりカレー。
でも、インドやパキスタンのカレーって、ほんとうにうまい!!
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プロフィール

ハマダラカ

Author:ハマダラカ
職業:元小児科医、現在なんでも屋的医師を目指して修行中
日本を、そして海外を、自由に移動しては、
働いたり遊んだりの、
自称フリーター医師。
しばらくタイにあるビルマ難民向け病院でボランティアしてましたが
現在岩手県の被災地にある病院に来ました
関西人のつもりですが、心のふるさとは北九州市
facebookはこちら↓
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