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チーム力を上げる

2011.12.25.22:58

12月24日は、クリスマスイブ・・・ではなくて、いや、クリスマスイブではあるんですが、
我が家の結婚記念日です。
今年は初めての記念日、祝一周年!
ということで、僕が企画したイベントは・・・

二人でBLSコースの受講!

BLS(Basic Life Support)というのは、
意識がない、呼吸や心臓が止まっている人を見つけた場合、
何をすべきか、一番基本的なところを学ぶコースです。
で、一度受けても、定期的に受けないと、
資格が失効するようにできているので、
車の運転免許と同じで、定期的に通う羽目になります。
そのたびに結構なお金も取られる。

で、あまり乗り気がせずに、延ばし延ばしにしてたのですが、
小児の救急の資格の更新が年明けにせまってきて、
そこで、そのBLSという資格が必要なもんだから、
やむなく、年末に受講することになりました。

うちの嫁も、以前から気になってたみたいだったので、
どうせだったらと、一緒に受講することにしました。

12月24日の土曜日に、どんな奴がBLSを受講しにくるのかと
楽しみにして会場に行ってみると、
受講者は、僕たち夫婦二人だけ・・・(笑)
医療者の世界でも、かなり変わった夫婦なんだと改めて実感。

で、そんな変わった僕たち二人のために、
わざわざ一人のインストラクターが指導してくれました。

コース内容は、
心臓マッサージや簡単な器材を使っての人工呼吸、
そして、どのような手順で心肺蘇生をすすめるか、
一通り学びます。
内容はいたってシンプル。とても簡単です。
そう、簡単にしておかないと、
いざという時に、忘れてしまっただとかこんがらがったとかで、
うまくできなくなりますから。

僕は、以前働いていた病院で、
こういうコースを教える立場にいたので、だいたい内容は把握してましたが、
嫁も、あっさりと内容を習得。
やるな~と思って見てたのですが、
さらに、一番大事なポイントを見抜いていました。

それは、「複数の人達で蘇生する時の、コミュニケーションの重要性」

心臓マッサージだの人工呼吸だの、
いわゆる心肺蘇生というものは、驚くほど内容は簡単です。
でも、とても体力を使うので、一人では、5分と続けてられません。
だから、なるべく多くの人たちで、交代しながらやる必要があります。
アクシデントの現場が病院の中になると、
より高度な医療を使うようになるので、より多くの人が必要となります。

こんなとき、みんなの意思が統一されていて、
スムーズに連携できれば、1+1が10にも20にもなるのですが、
みんながバラバラに動いちゃうと、1+1が1にもなりません。

医療現場において、
スタッフが共通の知識を持っていることは、非常に重要です。
共通のアルゴリズムに基づいて動くことで、
今はどういう状況か、
次は何をしたらよいのか、
全部説明しなくてもみんなが動くことができます。
今回のコースは、アメリカ心臓病協会というところが作ったもので、
輸入したものをそのまんま使うことに、違和感を覚えたりもするのですが、
でも、おかげで、アジア太平洋地域では、
どんな医療者と一緒に働くことになっても、
緊急時にいちいち議論をすることもなく治療に当たることができます。

でも、一つのチームみんなが、「おれはよく分かってる」と思って、
勝手バラバラに指示を出し始めることも、よくあります。
みんながリーダーになろうとするんですね。
気持ちはよくわかるけど、
そうなっちゃうと、全然うまくチームが機能しません。
だから、リーダーを決めて、
お互いに声を出して、リーダーは、他のメンバーに指示を出す、
指示を受けた人は受けて理解したことが分かるように返事をする。
手順がややこしくなりそうな時、急なトラブルのときには、
リーダーはなるべく早くに指示を出す。
指示が出なかったら、メンバーは指示を仰ぐ。
こういう作業が、とっても大事です。

チーム力の凄さを見ることができた、男女のサッカーのW杯での感動は覚えていても、
自分の所属するチームで、
いかにチーム力を上げていくか、
いかに普段から風通しをよくして、コミュニケーションが取りやすい環境にしておくか、
こういうところに気が回らないと、
予測されていない事態、つまり「緊急事態」に対応するチームで活躍はできません。
チームの一員として活躍するには、チーム全体が活躍できないといけないからです。

こういう大事なポイントに、初参加で気付いた嫁は、改めてすごいの一言です。
そして、機械的、単調になりがちなBLSのコースで、
このようなチーム内のコミュニケーションについて、熱く教えてくださったインストラクターにも、
本当に感謝です。
講習会で、素晴らしい先生に出会えて、嫁の素晴らしいところも見れて、
クリスマスイブに受けた講習会で、思わぬプレゼントをもらいました。
今後、また自分が教える立場になったときには、参考にさせてもらおうと思います。
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年末のお買い物

2011.12.23.10:07

昨日は冬至でした。

一日中氷点下の日も珍しくなくなった、
岩手の被災地にも、本格的な冬が来ました。

慣れない仮設住宅で、
すっかり変わってしまった人間関係、
何より、見通しが立たない、この先。
これから、辛い冬が始まります。

そんな中、大槌町では、
地元のショッピングセンターが、
待望の再開を果たしました。
実に9ヶ月と10日。
文字通り、汗と涙の結晶です。

この工事にも、全国から人が集まり、
なんとか年末のお買い物に間に合うことが
できました。

震災後、大槌町にはスーパーはなく、
コンビニがあるだけで、
皆さんは隣の釜石まで
車で30分以上かけて買い物に通ってました。
これから冬になり、道路が凍るようになると
更に大変です。

本当は写真を載せたかったんですが、
いつ撮りに行けるか分からないので、
とりあえず、文章だけ書くことにしました。

ようやく、大槌でも、
個人商店からショッピングセンターまで、
買い物らしい買い物ができるようになりました。
地元の人が、地元で、これまで通りの生活をするということ
この、当たり前の日常を取り戻す作業のなかで
大きな大きな一歩になった気が、
道路にはためくのぼりや看板を見ると、
強く感じます。
復興に向けて、大きな一歩だと思います。

夜空の再会

2011.12.11.09:59

昨日は、皆既月食でしたね。
僕が天体観測に夢中だった中学~高校の頃は、
月食なんて、新聞で小さく取り上げられるだけでしたが、
昨日はネット上でかなり話題になっていて、
隔世の感があります。

そして、実は、
月食をじっくり見れたのは、今回が初めてでした。
長年日本海側に住んでいたせいもあり、
夜に星空が見えるということが、なかなかないんです。

さて、今は、好天が続く、太平洋側にいて、
街中でも星空が楽しめる、釜石に住んでいます。
昨日は、それはきれいな月食の天体ショーが楽しめました。

どんどん月が陰って行って、
徐々に夜空が黒く深くなり、無数の星が輝きだします。
赤い、まんまるなお月さまと、
バックには、無数の星のきらめき。
ちょうどオリオン座のあたりに月があったこともあり、
とっても賑やかな夜空となりました。

昨日、12月9日は、僕が長く診ていた患者さんの、命日です。
生きていれば、今は7歳、小学校一年生。
5年前に、2年3カ月という短い生涯を、その子は終えました。

亡くなった後、しばらくは、その子の魂が病院にいたみたいで、
ご家族は、病院に行くと、その子に会えるとおっしゃってました。
時々は、おうちにも帰ってたみたいですが、
最近は、新しい環境にも慣れたのか、
お空の上の、お星様になったみたいです。

僕が看取った、何人もの子どもたち。
みんな、お空の上で、仲良く輝いているはずです。
昨日は、僕たちのこと忘れないでね、と
明るい月を隠して、会いに来てくれたのかもしれません。

できて当たり前

2011.12.06.21:54

時々、医者の「業務の範囲」について、議論されます。

「責任の及ぶ範囲」と言ってもいいかもしれません。

どんなことかというと、

「医者の仕事は、正しい医療を患者に対して行うことであって、
その結果患者の病気が治るかどうかまでは責任は負わない」
という意見があります。

昔、いくら最新の、正しい医療を行っても、患者が助からない、
そんなことが当たり前の時代がありました。
そんな時、医者を訴えるのは、おかしいのではないか。
明確な過ちがない限り、医者が訴えられることはありませんでした。

でも、人間はいつか病気で死ぬことに変わりはなくても、
医者は患者の病気を治すのが当たり前の時代になりました。
そうなってくると、医者が正しい医療をしたかどうかは関係ありません。
結果論として、患者が助からなかったら、
訴えられたり、警察に捕まる時代になろうとしています。

これまで、がんばって患者を助けようとしたけど残念ながら助からなかった、
残念です・・・
で済んでたはずが、
いつのまにか、警察沙汰になる。
これでは、多くの医者が、重症の患者を診ようとしなくなります。
「60歳以上はお断り」
「意識のない患者はお断り」
「胸が痛い人はお断り」
なんていう世の中になるかもしれません。

今後、日本の状況がどうなるのか、見守るしかありませんが、
でも、よくよく世間を見回してみると、
他の仕事をしている人は、「方法論」ではなく、「結果論」で勝負しています。

この前、新幹線に乗ろうとして、新花巻駅のホームで待っていました。
その時、猛スピードで、新幹線が通過していきました。
こんなでかい物体が、こんなスピードで地面の上を走っている。
ただただ驚くばかりでしたが、
日本の鉄道は15秒単位でコントロールされています。
そして、どんなことがあったにせよ、
1分でも遅れたら、職員は謝罪します。
「お急ぎのところ、誠に申し訳ございませんでした」と。
ある程度以上遅れた場合は、理由のいかんに問わず、切符を払い戻します。
それが当たり前。
時間通りに電車を動かして当たり前。

プロ野球の監督。
セオリー通りに指揮をして、勝てばいいのですが、
負けると、結果論ではありますが・・・なんて前置きをされながら、叩かれます。
セオリーを無視しても、セオリーに従っても、
そんなことは誰も見向きもせずに、結果が求められます。

そう考えると、
医者の責任が結果論ではなく方法論だ、ということに
若干の違和感を覚えます。
僕の中では、
医者の責任は、無限大。
たとえ5人1チームで患者を診たにせよ、
責任は1/5になるのではなしに、
5人それぞれが患者に対し無限大の責任を負うべき、と思っています。
ただ、これはあくまで僕のスタンスなので、
他の医者に求めたりするつもりはありません。
患者の命、患者の体、患者の人生、家族との繋がり。
担当医なら、これを全て背負って、
その上で、患者やその家族の望むゴールに到達できるように一緒にがんばる。
患者さんの求めるものは、やはり結果であって、
一つ一つの細かな方法論ではないと思います。
治療法にこだわる患者さんは大勢いますが、
それは、治療によって副作用が心配だとか、
時間がかかるとか、お金がかかるとか、
患者さんの望んでいるゴールではなくなるから、こだわるのです。
手塚治虫の描くブラックジャックがすごいのは、
この徹底した「結果に対するこだわり」だと思います。

これからは、野球やサッカーを観る度に、
電車に乗ってどこかに行く度に、
そして、大好きな「ブラックジャック」を読むたびに、
結果にこだわって働く、プロフェッショナルというものに触れて、
自分の中のプロフェッショナルを見つめていきたいと思います。

欲望は限りなく

2011.12.04.21:19

嫁の知り合いから、国際医療について話をしてくれ、
と頼まれて、今週末はいろいろ調べて準備をしていました。

国際医療、国際小児保健、
範囲が広すぎて、何を話せばいいのやら。

でも、途上国の医療をどうのこうの言う前に、
これだけは言いたい!というものがあります。

それは、「いかに日本の医療が恵まれているか」

日本の平均寿命は、ご存知の通り世界一です。
新生児死亡率も、乳児死亡率も、トップレベル。
よく、「医療費が高い」と言われますが、
国民一人当たりの医療費は、先進国の中では平均レベル。
そして、大事なことですが、
患者一人当たりの医療費は、ダントツに安い。

国民一人当たり、と、患者一人当たり、
何が違うかというと、
日本人は、体調が悪くなると、あるいは悪くなくても、
気軽に、病院を受診する。
だから、病院を受診する頻度は、世界の中でダントツに多いのです。
でも、医者の数は、決して多くはありません。
看護師の数も、決して多くはない。

だから、少ししかいない医者・看護師に、
大勢の患者が押し掛ける構図になってます。

だから、「3時間待ちの3分医療」になるのです。

一時間に、20人の患者を診察しないと、パンクするんです。

でも、自分の悩みや辛さをしゃべりたい人は、
とても3分間の診察では満足しない。
だから、医者も看護師も、ヘロヘロになりながら、
毎年多くが過労死や自殺に追い込まれながらも働いているのに、
世間的には、受けが悪い。

欧米では、まず医者に診てもらうのが大変です。
予約をとらないといけない。
予約をとって、何日か待たされて、
ようやく診察してもらえて、
でも、専門医に診てもらおうと思ったら、
さらにそこから紹介されて、また予約をとって・・・
と高い高いハードルがあります。
日本みたいに、熱が出て数時間後に医者に診てもらう、なんて
考えられません。

日本では、いきなり予約なしに、専門医に診てもらうのが当然、
という風潮がある。
だから、救急患者でも、専門医がいるところに行こうとするから
専門施設がパンクしてしまう。

アメリカの救急外来は、もちろん予約なしで診てもらえますが、
重症度が低いと後回しになるので、
16時間待ちました、という話も聞きます。
16時間ですよ。朝6時に行って、診てもらえたのが夜の22時!
それでもしょうがない、という風潮ができれば、
おそらく、日本で「タライ回し」だなんて言われている、
救急車お断り、もかなり減るでしょう。
救急車を断るのは、働きたくないからではなく、
すでに病院に重症患者がたくさんいて、
物理的に、マンパワー的に、新たな患者をすぐに診ることができないからです。
救急隊から患者搬送依頼の連絡が来た時に、
「今はうちの病院は重傷患者がいるから、軽症患者は数時間は待ってもらいますがいいですか?」
と聞くと、「それなら結構だと患者が言っています」
と何度言われたことか。
救急車を呼べば、すぐに診察してすぐに帰れると思ったから呼びました、
と言う人も、少なからずいます。

昔の日本の医療のことを考えると、
劇的に医療体制は良くなったと思います。
でも、日本の中だけしかみていないと、
素直に今の日本は素晴らしいとは思えない。
あらさがしが始まって、もっと改善すべきだ、となります。
今の日本の医療はだめだ、と訴えている人に会うたびに、
世界を見回してみろ、
他の国の、隠れて見えにくくなっている、悪いところもみろ、
今の日本がどんなに素晴らしいか、分かるはずだ、
と言いたくなります。

先日、来日して、一気に知名度が上がったブータン国王夫妻。
「国民総幸福」を目指している国で、
「私もブータンに行って幸せになりたい」だなんて意見も聞こえてきますが、
国民総幸福を言い換えれば、経済的な貧しさはどうしようもない、
だから国民が他の国の良い面ばかりをみないように、
鎖国状態を維持してきた国です。
ブータンの医療レベルは、世界的に見ても、下から数えたほうが早いぐらい
お世辞にもいいとは言えません。
だけど、その状態でも、満足してしまえば、
医療体制のことで不満を持つことはなくなります。

完全に現状に満足してしまうと、全く進歩も変化もなくなってしまいますが、
ある程度、今の状況に満足できるようにならないと、
どこに行っても、アメリカだろうがイギリスだろうがブータンだろうが、
その人は幸福にはなれないでしょう。
常に変化、進歩、革新を追い求め、
自分の置かれている環境は不幸だ、自分は不幸だと思い続け、
他人を批判し続ける、
それも一つの生き方。
どこかのレベルで、世の中こんなもんだ、と開き直り
日々の生活に幸せを感じていくのも一つの生き方。
でも、日本の医療レベルは、
これ以上は大きく進歩できないところまで来ているように思えます。
いくら癌を治せるようになっても、
再生医学が進歩しても、
ドラゴンボールを集めて神龍に不老不死をお願いしない限り、
これ以上平均寿命は伸びないでしょう。
日本人は、そろそろ医学の限界を悟って、
無駄に怒ったり悩んだりするのはやめて、
ブータンの人たちのように(実際はどうかは知りませんが)
幸せを味わいながら生きてみてはどうでしょうか?

幸せは、追い求めるものではありません。
気づけばそこにあるものです。
問題は、その人が幸せかどうかではなく、
幸せに気づくかどうか、だと思います。

マニュアル対応

2011.12.04.20:31

先日、以前住んでいた世田谷区から、一通のはがきが届いた。
「延滞している区民税を早く支払いなさい。さもなくば財産を差し押さえます」
のような文面が書いてあった。

「なに~~!?」
という思いと、
「またか・・・」
という思い。

区民税の支払い通知書なんて、届いていない。
なのに、督促状だけ届く。

実は、同じようなことがありました。
国民健康保険の支払い通知書が届かずに、
督促状だけ届いた。
「何なの、これ?」と電話で確認。
「納税通知書届いてないのに、なんで督促状だけ送るんですか?」
「実は、通知書は宛先不明で帰ってきてたんです」
「その後、もう一度通知書をおくるなり電話するなりしましたか?」
「それは決まりにないので、そんなことはしてません」
「通知書が届いてないことを知ってて、督促状だけ送りつけて、失礼だと思いませんか?」
「でもこちらは法にのっとって規則どおりに業務をしています」
「法にのっとっても、人間として、礼儀にかけると思いませんか?」
「次から対応を検討させて頂きます」
と、こんな対応。

なのに、またかよ・・・

そして、釜石市の税務課の担当者も、型どおりの受け答えしかできない。

釜石に引っ越して、約一ヶ月ちょっとだけ、国民健康保険だったのですが、
その金額が、想像を絶する金額。
そして、平日の昼間に、窓口まで払いに行かねばならない。
ギリギリの人数で病院業務をまわしているから、
僕が支払いに行くとなると、その間、病院の業務に穴をあけねばならない。
なんて悩んでると、通知書が届いた2日後に、督促状が来た!!
なんやねん!?

なんとかコンビニで払えるように、なりませんか、と聞いてみると、
その必要性はない。
みんな我慢して市役所に来て支払っている。
お前も我慢しろ、仕事は自分でなんとかしろ、
文句言わずに市役所まで来い。
急患が来た時にどうなるかとか、こちらの知ったことではない。
と散々怒鳴られた。

民間企業なら、他の自治体で、コンビニでの支払いができるとなると、
すぐにシステムを導入することはもちろん不可能だけど、
今後どうするか、考えてくれるし、
少なくとも相談には乗ってくれる。

今まで僕が住んできた、
京都市の上京区や左京区、京都府福知山市、
北九州市の八幡西区、群馬の渋川市に東京の東久留米市、
これらの自治体では、コンビニなんかで払えたり、
少なくとも親切に相談に乗ってくれた。
なのに、釜石は、どなり散らすのかよ・・・

こんなことでは、よそから釜石に来て、
住民票をうつして、釜石市民になろう、
という人は、なかなか増えないんじゃないかな・・・
医療過疎になる、ギリギリのところで踏ん張っているのに、
釜石市が新たに開設した医療センターにも
みんなで人員を出して応援しているのに、
釜石・大槌で唯一の救急医療施設のスタッフの勤務ができなくなっても、
おれは担当ではないから知ったこっちゃない、ってことか。

結局、周りの先生がたに無理を言って、
なんとか時間を作って、支払いに行きました。
その数時間の間に、大事件が起きなくて済んだので助かったわけですが。
神様ありがとう、です。

さすが、公務員の「マニュアル対応」と思ってたけど、
「マニュアル対応」の波は、医療現場でも幅をきかせてます。
「○○ガイドライン」という名前で、
いろんな病気の診療のマニュアルが、出ています。

そのようなものがあること自体は、非常に重要なことだと思います。
ただ、何でもかんでも、ガイドラインに書いてある通りにしよう、とする人がたまにいます。
ガイドラインは、基本的に、最大公約数的に、
ある病気の人全体に使えるように、おおざっぱなことが書いてあります。
実際の患者さん一人一人に当てはめようとすると、
患者さんの事情や、体質や、合併症などで、
そのまんまではうまくいかないこともある。
たとえば、
明らかに心臓も呼吸も止まっている人に、
一つ一つ時間をかけて脈や呼吸の確認をする必要はありません。
そんなところはすっとばして、さっさと次の段階の治療に入らないといけない。
あるいは、ある病気の患者さんで、今使っている薬がうまく効いているのに、
わざわざガイドラインどおりに薬を変えて、うまくいかなくなることもある。

ガイドラインと言うのは、あくまで一つの考え方。
どんなガイドラインにも、「個々のケースにあわせて対応してください」と書いてある。
そして、ちゃんとした背景があって、理屈があって、研究で得られた根拠があって、
だから、このような患者さんには、このような治療をしましょう、ということになっている。
だから、患者さんの状況を考えた時に、
今の状況なら、ガイドラインの、この部分を少し変えたほうがいい、
ということも起こりうる。

マニュアルに書いてある字面通りにしか動けない人と言うのは、
つまるところ、マニュアルの理念、背景、目的を良く分っていない人たちなのだ。
そういう人に限って、やたらとマニュアルを振りかざして、盲目的に従う。
9月から、新たに大人の病気を診療するようになって、
今の自分の言動は本当にベストの選択なのか、ガイドラインをうまく使えているのか、
改めて反省が必要です。
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♥. ♠. ♣Alice
プロフィール

ハマダラカ

Author:ハマダラカ
職業:元小児科医、現在なんでも屋的医師を目指して修行中
日本を、そして海外を、自由に移動しては、
働いたり遊んだりの、
自称フリーター医師。
しばらくタイにあるビルマ難民向け病院でボランティアしてましたが
現在岩手県の被災地にある病院に来ました
関西人のつもりですが、心のふるさとは北九州市
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Toru Yoneda

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