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冬の洗礼

2012.01.29.12:04

1月に入り、釜石も寒さが本格化してきました。
僕の中では「岩手のハワイ」、すごしやすい気候とはいえ、
連日、一日中氷点下近くの寒さが続きます。

そして、我が家の中は、外と変わらないぐらい冷える!!

これまで、たびたび水道を凍らせてしまったけど、
最近は、台所も洗面所も、もちろんトイレも、
水という水が全部凍ってます。。

洗面台の中はびっしりと凍ってて、
脇に干した雑巾から垂れた水が、大きな氷の塊になってるし、
台所のシンクの中にも、分厚い氷ができてました。

トイレは、タンクを空にしても、水道管の水抜きをしても、
ぜんぜん使える気配がないので、もう、完全に諦めてます。

特に日当たりが悪いわけではないんだけど・・・

幸い、お風呂場の水道だけは、いつも凍らずに残るので、
浴槽にお湯をためて、
バケツでお湯をくんで、トイレに使ったり、洗濯機に使ったり。

室温が氷点下まで下がっても、普通に寝れてしまっている自分が、
ちょっと怖い今日この頃です。

極端に運動量が減って、皮下脂肪が急増したから、大丈夫なのかな?

すきま風だらけの家とはいえ、ちゃんと昔から建ってる一軒家でこうだから、
仮設に入っている人達は本当に心配になります。

前に書いた記事とおんなじような内容になっちゃったけど、
あまり状況が変わってないから、
しょうがない。
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刺激的な講習会

2012.01.23.19:01

去年のクリスマスイブに、BLSという心肺蘇生コースの更新を受けたのを皮切りに
1月15日には、PALS(小児二次救急)の更新を受け、
その後、間髪をいれずに、WALSという野外救急コースを受講してきました。
Wilderness Advanced Life Supportの略で、
野外、一般的には山や海といった、医療の器具も薬もないようなところでの、
救命救急法とでもいえばいいでしょうか。

BLSというのは、Basic(基礎的な)という名前の通り、
心臓が止まってしまった人に対する、もっとも重要で基本的な処置を学びます。
その上にあるコースでは、いくつかの薬の使い方、
人工呼吸のやりかた、
心臓マッサージの後、心臓が再び復活した患者さんに対する処置を学びます。

以前働いていた九州の病院は、
民間病院ながら大学病院から患者が紹介で搬送されてくるような、
「カゼのこどもから脳や心臓病まで」
ありとあらゆる患者さんが来る病院でした。
当然、突然心臓が止まってしまうようなことや
心臓が止まった状態で赤ちゃんが生まれてくることもしばしばあって、
上級コースで得た知識や技術を医者も看護婦さんもみんな共有することで、
非常にスムーズに患者さんに対応することができました。
だから、BLS、PALSといったコースの重要性は、身をもって分かってます。

でも、どんなにスムーズに対処をしても、
心臓が再び動いて、生き返るのは、10人に1人、いるかいないかです。
だから、いろいろ知識を得て資格を取った医療者には忘れられがちなんですが、
圧倒的に大切なことは、
心臓が止まるようなことを防ぐこと。
つまり予防です。
早い段階で、「このままだったらヤバいな」と気づいて、
それを回避できる様な処置をすることです。
PALSコースでも、さらっとしか「早い段階での危険の予測」には触れませんが、
(それでも以前に比べるとかなりウエイトを置くようになりましたが)
野外救命救急コースであるWALSでは、
この点にかなりのウェイトを置いていました。

また、複数のメンバーでチームを組んで、チームの一員としていかにうまく行動するか、
いかに他のメンバーとコミュニケーションをとるか、にも
かなりのウェイトを置きます。
だから、いろんな人達とチームを組んでの実習を何度も繰り返します。
チームの中での連携。
チームと他のチームとの連携。
1+1が2になるのか、100になるのか、はたまた0.5にしかならないのか。
自分たちにも危険が迫りうる状況の中での連係の上手下手は、
まさに生死を分けます。

大した医療器具もなく、薬もほとんど使えない、
患者さんを運ぼうにも、山の上だったり大海原の真っただ中だったり、
そんなシチュエーションで、具合の悪い人を見つけたらどうしますか?
そもそも、どうすれば、具合が悪くならないようにできますか?
これはまさに、危険の予防であり、早期対処です。
心臓が止まってしまってから慌ててヘリコプターで患者さんを運んでも、
救命率は数パーセント。
心臓が止まらないように、野外で対処できるなら、
救命率は百パーセントです。

まだ日本では、この分野の重要性はほとんど認識されていません。
JPTECという、患者さんを病院まで連れていく部分の講習会はありますが、
これはあくまで
「いかに早く安全に患者さんを救急車を使って病院まで運ぶか」であって、
どのような危険が予測されるか、というところは二の次です。
山で遭難した人、雪崩に巻き込まれた人を救助する行為は
善意のボランティアであって、
救助方法がいいとか悪いとか、そこまで議論が深まったりはしていません。
救助法もみんなバラバラです。
かつての日本の病院の救急外来での医療がそうであったように。

そして、「器具も薬もない」という状況は、
決して山のてっぺんや太平洋の真っただ中だけではなく、
今回の震災のような、大規模災害でも、突如出現します。
その際、何を考え、どのように行動すれば、
多くの人を救えるか、そしてストレスなく行動できるか。
今回の被災地で、非常に多くの困難とぶつかりながら、
どうすればいいか分からずにストレスを抱えてしまう人達を何人も見ました。
これまでの自分の経験も思い返しながら、
非常に有意義な講習を受けることができました。
ほとんど知られていない、マイナーな分野の講習会、
しかも4泊5日もかけて、そんな講習会を受けようという人たちは、
熱い思いと、行動力と、「変人」と思われても厭わない?自己の強さがあって、
刺激もかなり受けました。

積極的に宣伝するつもりはありませんが
(興味がある人だけが受ければいいと思うので)
あまりにも知られていない分野なので(今回が日本での初めての講習会!)
webサイトのアドレスを載せておきます
http://www.backcountryrescue.jp/

夜は賢治の世界

2012.01.17.00:22

昨日は朝から仙台でPALSという、小児救急の講習会でした。

ほんとは、せっかく街に出たのだから、
いろいろ雑貨屋に電気屋、アウトドアショップとお店を巡って
買い物をしたかったんですが、

冬のJR釜石線は何が起きるか分らん!ということで、
そそくさとなるべく早く帰ることにしました。

で、新幹線から釜石線に乗り換えて・・・

厳冬の、野を越え山を越え峠を越え、
ようやく釜石市内の灯りが見えたところで・・・

なんと、強風で運行を中止してると・・・!!

秋には、峠マラソンのコースにもなった峠の駅で、
汽車がとまってしまいました。。。

車内にいると携帯が圏外で通じないのと、
ここからなら3時間も歩けば着くんじゃないか、という思いで、
車両から出てみると、、

びゅ~~

っとものすごい風が吹いています。
沖縄本島で台風の直撃に会い、50m先のコンビニに行くのに
吹き飛ばされて死にかけたことがあるのですが、
ちょうどそれに匹敵するんじゃないか、というぐらいのものすごい風。
しかも、当然ながらめっちゃ冷たい。
こんな風が吹いている中、漆黒の闇の峠道を歩いて帰ろうもんなら、
吹き飛ばされるか、凍死するかのどちらかになりそうなので、
諦めてJRが手配した代行の車が来るのを待ちました。

でも、風に吹かれていると、
そこは、まさに「風の又三郎」の世界。
どっどど どどおど・・・
初めこの文章を読んだ時には、へんな音の風だなあ、と思ったのですが、
こんな猛烈な風が吹き荒れるのをみると、まさに納得でした。
風の又三郎の舞台は、もちろん釜石ではありませんし、
釜石は賢治のいた花巻より風が強いところなのですが、
それでも、僕の頭の中はあっという間に又三郎の世界です。

宮沢賢治の文章には、キラキラ光るものがいっぱい出てきます。
夜空の星であったり、宝石であったり、水しぶきであったり。
夜空に星がきらめく様子や、
子どもたちが岩手の乾いたパウダースノーをキュッキュッと音を鳴らしながら歩いたり。

岩手の夜は、まさに宮沢賢治の世界の「幻燈会」が始まります。

賢治の作りだす世界、というより紡ぎだす一つ一つの言葉を体感したかったら、
ぜひ岩手に来てみてください。
そして、夜中に人里離れたところを歩いてみてください。
きっと、いろんな童話の名シーンがよみがえってくると思います。

冬が来た

2012.01.14.21:38

皆様、遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。

今週になって、ようやく年賀状を書き始め、
おととい、なんとか書き終わりました。

寒の入りを過ぎて書き始めたのは、
生まれてこのかた記憶にないぐらいの遅さです。
多くの方にお世話になっておきながら、
誠に申し訳ございません。

釜石は、お正月こそ、それほど寒くもなく、
まあ快適に過ごすことができましたが、

今週は寒かった。。。

どれほど寒いかと言うと・・・

冷蔵庫をあけると、生ぬるく感じます。

電源が切れていたのか、ドアが閉まってなかったのか、と
一瞬焦りますが、

単に部屋の室温が0度前後なだけです。

水曜日は当直だったのですが、
木曜日の夜中、当直明けで帰ったら、

台所の蛇口に、でっかいツララができてました。

やってしまった・・・
水道を凍らせてしまったよ・・・

トイレはもちろん完璧に凍ってしまって、使えません。
洗濯用にためておいた風呂水をバケツでトイレまで運んで流しました。

それでも、釜石は、「岩手のハワイ」なんて言われてるかどうかは知りませんが、
岩手の中では、ダントツに冬はすごしやすいところです。
内陸の方に出張に行った人が帰ってくると、
「釜石に来たら世界が違う。」
「ほんとに落ち着く」
と、みんなホッとするようです。
今日は出張で仙台に泊まりに来てるのですが、
釜石から峠を越えて隣の遠野市に入った瞬間、
雪景色に変わります。

僕は雪国で育ったので、雪が積もってるのは気にならないけど、
雪国で一番憂鬱になるのが、あの鉛色の空。
どこまでが地面でどこから空になるのか、良く分らない、
見渡す限り、グレーで鉛色の世界は、
ネバーエンディングストーリーにあった世界のように、
思わず絶望してしまいたくなります。

釜石をはじめ、沿岸部に来ると、
空が晴れている。
それだけで、充分贅沢な気分になれます。

東北の沿岸部に射す日の光は、
真冬を迎えた被災地への、せめてもの救いのような気がします。
寒さが厳しい仮設住宅で、みなさんが冬を少しでも暖かく越せるように、
祈ります。
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♥. ♠. ♣Alice
プロフィール

ハマダラカ

Author:ハマダラカ
職業:元小児科医、現在なんでも屋的医師を目指して修行中
日本を、そして海外を、自由に移動しては、
働いたり遊んだりの、
自称フリーター医師。
しばらくタイにあるビルマ難民向け病院でボランティアしてましたが
現在岩手県の被災地にある病院に来ました
関西人のつもりですが、心のふるさとは北九州市
facebookはこちら↓
Toru Yoneda

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