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刺激的な講習会

2012.01.23.19:01

去年のクリスマスイブに、BLSという心肺蘇生コースの更新を受けたのを皮切りに
1月15日には、PALS(小児二次救急)の更新を受け、
その後、間髪をいれずに、WALSという野外救急コースを受講してきました。
Wilderness Advanced Life Supportの略で、
野外、一般的には山や海といった、医療の器具も薬もないようなところでの、
救命救急法とでもいえばいいでしょうか。

BLSというのは、Basic(基礎的な)という名前の通り、
心臓が止まってしまった人に対する、もっとも重要で基本的な処置を学びます。
その上にあるコースでは、いくつかの薬の使い方、
人工呼吸のやりかた、
心臓マッサージの後、心臓が再び復活した患者さんに対する処置を学びます。

以前働いていた九州の病院は、
民間病院ながら大学病院から患者が紹介で搬送されてくるような、
「カゼのこどもから脳や心臓病まで」
ありとあらゆる患者さんが来る病院でした。
当然、突然心臓が止まってしまうようなことや
心臓が止まった状態で赤ちゃんが生まれてくることもしばしばあって、
上級コースで得た知識や技術を医者も看護婦さんもみんな共有することで、
非常にスムーズに患者さんに対応することができました。
だから、BLS、PALSといったコースの重要性は、身をもって分かってます。

でも、どんなにスムーズに対処をしても、
心臓が再び動いて、生き返るのは、10人に1人、いるかいないかです。
だから、いろいろ知識を得て資格を取った医療者には忘れられがちなんですが、
圧倒的に大切なことは、
心臓が止まるようなことを防ぐこと。
つまり予防です。
早い段階で、「このままだったらヤバいな」と気づいて、
それを回避できる様な処置をすることです。
PALSコースでも、さらっとしか「早い段階での危険の予測」には触れませんが、
(それでも以前に比べるとかなりウエイトを置くようになりましたが)
野外救命救急コースであるWALSでは、
この点にかなりのウェイトを置いていました。

また、複数のメンバーでチームを組んで、チームの一員としていかにうまく行動するか、
いかに他のメンバーとコミュニケーションをとるか、にも
かなりのウェイトを置きます。
だから、いろんな人達とチームを組んでの実習を何度も繰り返します。
チームの中での連携。
チームと他のチームとの連携。
1+1が2になるのか、100になるのか、はたまた0.5にしかならないのか。
自分たちにも危険が迫りうる状況の中での連係の上手下手は、
まさに生死を分けます。

大した医療器具もなく、薬もほとんど使えない、
患者さんを運ぼうにも、山の上だったり大海原の真っただ中だったり、
そんなシチュエーションで、具合の悪い人を見つけたらどうしますか?
そもそも、どうすれば、具合が悪くならないようにできますか?
これはまさに、危険の予防であり、早期対処です。
心臓が止まってしまってから慌ててヘリコプターで患者さんを運んでも、
救命率は数パーセント。
心臓が止まらないように、野外で対処できるなら、
救命率は百パーセントです。

まだ日本では、この分野の重要性はほとんど認識されていません。
JPTECという、患者さんを病院まで連れていく部分の講習会はありますが、
これはあくまで
「いかに早く安全に患者さんを救急車を使って病院まで運ぶか」であって、
どのような危険が予測されるか、というところは二の次です。
山で遭難した人、雪崩に巻き込まれた人を救助する行為は
善意のボランティアであって、
救助方法がいいとか悪いとか、そこまで議論が深まったりはしていません。
救助法もみんなバラバラです。
かつての日本の病院の救急外来での医療がそうであったように。

そして、「器具も薬もない」という状況は、
決して山のてっぺんや太平洋の真っただ中だけではなく、
今回の震災のような、大規模災害でも、突如出現します。
その際、何を考え、どのように行動すれば、
多くの人を救えるか、そしてストレスなく行動できるか。
今回の被災地で、非常に多くの困難とぶつかりながら、
どうすればいいか分からずにストレスを抱えてしまう人達を何人も見ました。
これまでの自分の経験も思い返しながら、
非常に有意義な講習を受けることができました。
ほとんど知られていない、マイナーな分野の講習会、
しかも4泊5日もかけて、そんな講習会を受けようという人たちは、
熱い思いと、行動力と、「変人」と思われても厭わない?自己の強さがあって、
刺激もかなり受けました。

積極的に宣伝するつもりはありませんが
(興味がある人だけが受ければいいと思うので)
あまりにも知られていない分野なので(今回が日本での初めての講習会!)
webサイトのアドレスを載せておきます
http://www.backcountryrescue.jp/
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♥. ♠. ♣Alice
プロフィール

ハマダラカ

Author:ハマダラカ
職業:元小児科医、現在なんでも屋的医師を目指して修行中
日本を、そして海外を、自由に移動しては、
働いたり遊んだりの、
自称フリーター医師。
しばらくタイにあるビルマ難民向け病院でボランティアしてましたが
現在岩手県の被災地にある病院に来ました
関西人のつもりですが、心のふるさとは北九州市
facebookはこちら↓
Toru Yoneda

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