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「専門家」の功罪

2011.05.02.08:36

昨夜は病院で当直のバイトでした。
ちょうど勤務時間が終わった時にテレビをつけると、
「医療過疎を津波が襲った」というNHKの特集が流れていました。
以前にも同じタイトルの特集を放送していたそうですが、
その時は自分は被災地にいて、テレビを観れなかったのですが、
今回は、幸運にも観ることができました。

過疎地域で起こる、医療過疎。

これは、今に始まった問題ではありません。

地域によって、
いろんな原因があって、いろんな問題があって、
一概には語れない問題です。

自分が学生の時から気になっていたのが、
「専門家志向」という風潮です。
患者さんは、何でも「専門家」に診てもらいたがる。
でも、専門的な医療というものは、
大勢のスタッフと、器材がないと提供できません。
だから、田舎の小さな病院では、医療ができなくなる。
そのようなことを、学生時代に聞きました。

でも、
ふと考えると、
これは医者の立場からみた話であって、
医療者側を見返すと、医者の中にこそ、頑固な「専門家志向」がある。
つまり、
自分の専門以外は診察をしたがらない。
「○○病院の△△先生に診てもらいなさい」と紹介してしまう。
このことが、患者さんの負担にならなければ、そのほうがいいのでしょうが、
そうではないことが多々あります。
そして、田舎にいると、物理的に不可能なことが多い。
必然的に、専門領域以外の患者さんも診察せねばならない、
田舎の医療は、敬遠されてしまうのではないか。
こんなことも思います。

東京の病院で働く若い医師に話を聞くと、
この「専門領域内で働く」傾向が非常に強くて、びっくりしたことがあります。
いわく、「自分の専門外と判断したら、速やかによその病院にうつってもらいます」と。
自分にとっては、小児科医=内科医の中で、こどもの医療の専門家、という解釈なので、
こどもの患者が来たら、何であってもある程度は診療するのは、
専門家としては当然の使命だろ?と突っ込みたくなります。
そもそも、昔は内科の開業医の先生方もこどもの患者も診ていたのに、
「子どもは小児科に行って、小児専門の小児科医に診てもらいなさい」
としてしまったのは、小児科医自身ではないのか!?

一方、田舎での医療、「地域医療」ともいいますが、
そのようなことに興味を持つ学生や医師からは、
「地域医療の専門家になりたい」
「どこの病院に行けば、地域医療を学べますか?」なんて聞かれる。
思わず、ははは・・・と笑ってしまいます。
田舎の医療の専門家・・・
一昔前までは、そんな言葉はなかったよなあ・・・
いったいどこまで「専門家」であろうとする気なのか??

このような医師たちは、
「患者さん」ではなく、あくまで「病気」「医療体制」を治そうとしている、
そんなように見えてしまいます。
地域医療の専門を学校の中で学ぶ、とか言ってないで、
ある程度一般的なことを身につけたら、
田舎で患者さん一人一人と向き合ってくればいい。
「地域医療」だの「全人的医療」だの、
いろんな言葉はありますが、実践するのに専門的かつ普遍的な知識が必要だとは思いません。
必要なのは、その地域ごとに変わる事情であり、
その事情に対応するための応用力
そして何より、
一人の人間対一人の人間の、人と人のぶつかり合い、
つまり普通の接客業として医療を考える、
そういう視点だと思います。
そういったことは、東京だろうが、京都だろうが、福岡だろうが、
タイの中のビルマ難民だろうが、
岩手の被災地だろうが、全く変わるものではありません。

今の日本で、医師が余っている病院なんてないと思います。
別に、みんなで三陸地方に移住して働け、と言っているわけではありません。
ただ、医師の間に存在する過剰な「専門家志向」を取っ払わないと、
状況は悪化する一方のような気がします。
そして、業績も地位もお金もない、今の自分にできることは、
出会った医者や学生たちに、このような考えをぶつけてみることかな、
そして、タイでの仕事が一段落したら、なるべく早く、
岩手県の大槌・釜石に戻って働きたい、
現地で働いている医師と一緒になって働きたい、と思います。
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No title

2011.05.03.21:18

いたたたた~
自分も専門バカだから、耳が痛いです(>_<)

専門

2011.05.03.21:53

確かに、病院がいっぱいの都会地では、患者さんがどの科にかかればいいのかわからないところがありますね。田舎の開業医では、一応専門の看板はあげてますが、すべての病気の患者さんをみなくてはやっていけません。歯科開業医は矯正、口腔外科以外は専門はあってないようなもんで、すべてをみます。患者さんはそれ以外の専門を知りませんし。難しい問題ですね。

Re: No title

2011.05.04.01:33

> しいはら先生
いや、先生のような専門家の先生方には、非常にお世話になっています。
だから、専門家の先生がたは絶対に必要です。
ただ、若い先生たちが、病気や教科書を通してでしか
患者さんを見ることができないとしたら、
非常に悲しいことだと思います。
もしも御不快な気分にさせてしまったのでしたら、お詫びいたします。
どうもすみません。

Re: 専門

2011.05.04.01:49

> 駿ちゃんパパさん
そうですね。田舎に行くと、内科と外科と耳鼻科と眼科、そして歯科しかないような気がします。
そして、それで充分なのかもしれません。
やっぱり、自分が診ている患者さんは、どこの病気であっても自分が責任を持って診たい、と思いますから。
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プロフィール

ハマダラカ

Author:ハマダラカ
職業:元小児科医、現在なんでも屋的医師を目指して修行中
日本を、そして海外を、自由に移動しては、
働いたり遊んだりの、
自称フリーター医師。
しばらくタイにあるビルマ難民向け病院でボランティアしてましたが
現在岩手県の被災地にある病院に来ました
関西人のつもりですが、心のふるさとは北九州市
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