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落とし穴

2011.06.23.23:05

ここ数日、慌ただしい産科病棟ですが、
そんな中、生後7日目の赤ちゃんが「ミルクの飲みが悪い」と
やってきました。

看護婦さんが診察して、黄疸がある、ということで、
点滴と、抗生剤と、
光線療法という、特殊な蛍光灯のような機械で
赤ちゃんに光を当てて、黄疸の物質を分解する、
という一般的な黄疸の治療を始めてくれてました。

次の日の朝の回診で、初めてその赤ちゃんを診たのですが、
「治療を始めてから、元気になっておっぱいを飲むようになりました」
という言葉を聞いて、そのまま治療を続けて様子を見ることにしました。

今朝、回診で回ると、たまたま赤ちゃんが目を開けてたのですが、
改めてその赤ちゃんを見てびっくり!!
黄疸がかなりひどい!!白目の色がはんぱじゃない・・・
そして、「洛陽現象」といって、
目玉が動く人形みたいに、目玉が下を向いている・・・
なんとなく、脚の動かし方も怪しい・・

これは、「核黄疸」という、重症の黄疸の症状で、
黄疸の物質が脳にダメージを与えてしまった時に出てくる症状です。

重症の黄疸の時には、先に行った光線療法という治療のほかに、
体の血を入れ替える、交換輸血ということを行わないといけません。
昨日、午前と午後の回診の時は、すやすやと眠っていたし、
元気になってきたという話だったから、そのまま寝かしてたけど、
もっとしっかり診ておくべきだった。

そんな中、最初に赤ちゃんが来た時に血液検査をしていたらしく、
その結果が帰ってきました。
総ビリルビン(黄疸の物質)34.67
と、かなりの異常値。
メータオクリニックでは黄疸の値は調べられないので、
地元のメソット総合病院に血液を持って行って、検査を依頼するのですが、
結果が分かるまで1~2日はかかります。
だから、リアルタイムに治療方針を決める事には全く使えないので、
滅多に検査はしません。
でも、看護婦さんが、検査をしようと思うぐらい、
初日に病院に来た時には、黄疸がひどかったんでしょう。
そして、結果が判明した時には、すでに脳にダメージがきてしまっている。

いずれにしても、きちんとリアルタイムで検査をしつつ、治療方針を決められるように、
急いで赤ちゃんをメソット総合病院に転院させました。
年に数人の重症の黄疸の赤ちゃんのために、
百万円近くもする、黄疸の検査の器械を買って、スタッフもトレーニングして・・・
ということが、この病院には簡単ではないことはよく分りますが、
でも、もし、欲を言いだすとキリがないけど・・・
その器械があれば、もっと早く赤ちゃんを転院させられたのに。。。

でも、その前に、この赤ちゃんをきちんと診ていなかった、
その事実はどうしようもありません。
この病院でできることを順番にやって、その結果といえばそうですが、
もっと良い結果にできる可能性があって、
その可能性を掴めなかった。
重症の黄疸の場合、後遺症は一生続くこともあります。
悔しいというより、痛い。
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プロフィール

ハマダラカ

Author:ハマダラカ
職業:元小児科医、現在なんでも屋的医師を目指して修行中
日本を、そして海外を、自由に移動しては、
働いたり遊んだりの、
自称フリーター医師。
しばらくタイにあるビルマ難民向け病院でボランティアしてましたが
現在岩手県の被災地にある病院に来ました
関西人のつもりですが、心のふるさとは北九州市
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