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最後の授業

2011.07.13.23:46

今週でメータオクリニックでの仕事も終わりということで、
これまで自分が働いていた各部署で、
最後の授業をさせてもらうことになりました。
昨日は小児科外来で、「喘息の治療と吸入治療のやり方」
今日は、産科病棟で、「新生児の救急蘇生法」
本当は、明日、小児科病棟で「緊急を要する症状」の授業をやる予定でしたが、
病棟のスタッフが、急遽別の授業を
今日から4日間連続で受けなければならなくなったらしく、
「それなら大変やろうから中止しようか」と言ったけど、
今週の日曜日に、僕がメソットを出る直前にやることになりました。

実は、産科病棟のリーダー、日本で言うなら婦長さんにあたる人は、
新生児の救急蘇生法に関してはかなり詳しくて、
だから、病棟のスタッフも、中堅以上のスタッフは、
みんな結構上手に蘇生の手技を行うことができます。

だから、別にあえて僕が講義をする必要はなかったのですが、
みんな馴染みのあるタイトルのほうが、
みんな来てくれるかな?
話を聞いてくれるかな・・・?
なんて期待して、蘇生に関する講義を始めました。

で、蘇生そのものに関するポイントは、
すでにみんなが知っていることがほとんどなので、
あまり言う必要もなかったのですが、
何てったって、一番大事なポイントは、
「いかに緊急事態を避けることができるか」
この一点に尽きます。

野球や、あるいはサッカーのキーパーについて、
「本当にうまい選手は、ファインプレーが少ない。
予め計算したり予測して、一つ一つの動作を地味に、確実にこなす」
と言います。
医療に関しても全く同じで、
初めから命が危ないような状態で病院に来た患者さんの場合は違いますが、
入院している患者さんに関しては、
いかに、今後一番起きやすい変化、一番起きては困ること、
そういったことを予測して、対処できているか、
その準備によって、治療成績が全く変わってきます。

先日、各病棟での患者さんの治療記録を調べている、と書きましたが、
新生児に関して言えば、
出生持の体重が1キロ未満の赤ちゃんは、この半年で、2/3が亡くなりました。
出生時の体重が1.4キロあると、ようやく半分が無事に退院までこぎつけています。
また、頻度はそれほど多くはありませんが、
成熟児でも、生後数日以内に亡くなっている例がありました。

もちろん、メータオクリニックにある医療器具は限られていて、
しかも、きちんと保守・点検もされてない。
でも、いくらいろんな器材がそろっていても、
それを使いこなせる知識と技術がないと、何にも意味がないし、
今手元にある器材だけでも、もうちょっと、赤ちゃんの命を助けることができるはず。
それは、とても地味な作業で、
こまめに赤ちゃんを観察して、何か異常があればすぐに対処する。
たったこれだけのことです。

おそらく、日本で未熟児・新生児の医療に携わっている人が
メータオクリニックに来ると、目を丸くして驚くはずです。
「こんなに器材も何もないところで、決して清潔とは言えない環境で、
きちんと教育を受けたわけでもないスタッフしかいない中で、
それでもこんなに赤ちゃんが生き延びているとは!!」

正直言うと、今、赤ちゃんが生き延びているのは、
半分はスタッフによる懸命の治療、半分は赤ちゃん自身の生命力
この賜物です。
今でも結構頑張っている人に、
もっと頑張れ、というのは、言うのは簡単でも、
大丈夫かな?逆ギレしないかな?と少し心配ですが、
それでも、自分たちで勉強して、もっと進歩していこうと
高いモチベーションを保って頑張っている姿を見ると、
どうしても、もうひと頑張り、お願いしたくなります。

今後、メータオクリニックの新生児医療がどうなっていくのか、
僕には分りません。
一番心配なのは、
これまで少しずつ進化してきた過去を全く知らない人が突然やってきて、
ダメな点ばかり指摘して、改善させようと無理強いして
みんながやる気をなくしたり疲れてしまったりすることです。

いろいろ講義でみんなに質問したり話をしていると、
思ったより時間をとってしまって、
最後に、”みんなよく頑張ってるよ~!!”という時間があまりなくなってしまいました。
一番言いたかったことが言えなくて、ちょっと残念でしたが、
最後の挨拶は、最後の日にとっておくことにします。
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プロフィール

ハマダラカ

Author:ハマダラカ
職業:元小児科医、現在なんでも屋的医師を目指して修行中
日本を、そして海外を、自由に移動しては、
働いたり遊んだりの、
自称フリーター医師。
しばらくタイにあるビルマ難民向け病院でボランティアしてましたが
現在岩手県の被災地にある病院に来ました
関西人のつもりですが、心のふるさとは北九州市
facebookはこちら↓
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