沈黙の秋
2010.11.05.22:45
今週日曜日は、総選挙があります。
選挙といっても、日本ではなく、ビルマの話。
日本では、選挙の前後は、つまらないゴシップが流れる程度ですが、
多くの発展途上国では、ゴシップが流れるどころか銃弾が飛んできます。
そして、ビルマでは、
多くの国民に支持されているアウンサン・スー・チーさん率いる政党が、
軍事政権によって無理やり非合法化されてしまい、
軍事政権に逆らったりしない人しか立候補できなくなってしまいました。
こんな、初めから結果が見えている選挙に対し、
総選挙をボイコットしようとするもの、
治安を悪くして選挙ができないようにしようとするもの、
はたまたそういった軍事政権に刃向おうとする動きを
暴力で握りつぶそうとする軍事政権の支持者、
そういったいろいろな動きが、
水面下で進んでいます。
そして、少しでも治安を落ち着かせようと、
ミャンマー(ビルマ)軍事政権は、
7月からここメソットとビルマの国境を封鎖して、
人やモノの動きを制限してきました。
もともと以前から、正式に入国審査を受けずに
国境を越える地元の人たちは多数いて、
お互いの政府にとって暗黙の了解だったんですが、
その”公認の密入国ルート”が、どんどん締め付けられてきました。
そのため、地元の人が国境を越えることが、
難しくなってきてしまったのです。
地元の人、といっても、ビルマに行くタイ人は、
タイの商品をビルマで売りさばこうという貿易商ばかりですが、
ビルマの人は、タイに来て働いたり、
メータオクリニックのような病院に来たり、
毎日の生活がかかっていたわけです。
地元の人たちの生活を無視してでも、
ビルマ軍事政権は反政府勢力の締め付けを優先します。
おかげで、メータオクリニックに受診に来る患者さんの数は、
文字どおり激減してしまいました。
去年、小児科外来の一日の患者数は100~150人ぐらいでしたが、
7月に国境が閉まってからは50~100人程度になり、
10月に入って闇ルートにも制限がかかると、30~50人にまで減りました。
今日から、もう一段、国境の警備が厳しくなるという噂が流れて、
昨日は、入院中の患者さんの家族が
泣きながら、国に帰れなくなるから退院させてくれと
僕に頼んできました。
ある程度回復していれば、
多少早めの退院でも良いのですが、
不安定な人は、退院してまた病状が悪くなると、
治療をうけることができなくなるので、
退院させるかどうかは非常に悩ましい問題です。
ちなみに、今日の小児科外来の患者数は、20人にまで減りました。
ガラガラを通り越した、静けさが広がります。
ビルマの医療機関で治療ができるようになったのなら、
患者数が減っていくことは喜ばしいことですが、
残念ながら、ビルマの病院は非常に高いので、
治療が必要な人たちが、どこにも行けずに家で寝ている姿が
目に浮かびます。
一見平和でのどかに見える、ここメソットの街と、
メータオクリニック。
この静けさの後に、大変なことが起きないことを、
今日退院した患者さんが無事に落ち着いていることを、
このあたりに住むすべての人が、
平和に、安全に、水や食料、医療に教育といった
最低限の生活が保証されることを、
祈り続けようと思います。
選挙といっても、日本ではなく、ビルマの話。
日本では、選挙の前後は、つまらないゴシップが流れる程度ですが、
多くの発展途上国では、ゴシップが流れるどころか銃弾が飛んできます。
そして、ビルマでは、
多くの国民に支持されているアウンサン・スー・チーさん率いる政党が、
軍事政権によって無理やり非合法化されてしまい、
軍事政権に逆らったりしない人しか立候補できなくなってしまいました。
こんな、初めから結果が見えている選挙に対し、
総選挙をボイコットしようとするもの、
治安を悪くして選挙ができないようにしようとするもの、
はたまたそういった軍事政権に刃向おうとする動きを
暴力で握りつぶそうとする軍事政権の支持者、
そういったいろいろな動きが、
水面下で進んでいます。
そして、少しでも治安を落ち着かせようと、
ミャンマー(ビルマ)軍事政権は、
7月からここメソットとビルマの国境を封鎖して、
人やモノの動きを制限してきました。
もともと以前から、正式に入国審査を受けずに
国境を越える地元の人たちは多数いて、
お互いの政府にとって暗黙の了解だったんですが、
その”公認の密入国ルート”が、どんどん締め付けられてきました。
そのため、地元の人が国境を越えることが、
難しくなってきてしまったのです。
地元の人、といっても、ビルマに行くタイ人は、
タイの商品をビルマで売りさばこうという貿易商ばかりですが、
ビルマの人は、タイに来て働いたり、
メータオクリニックのような病院に来たり、
毎日の生活がかかっていたわけです。
地元の人たちの生活を無視してでも、
ビルマ軍事政権は反政府勢力の締め付けを優先します。
おかげで、メータオクリニックに受診に来る患者さんの数は、
文字どおり激減してしまいました。
去年、小児科外来の一日の患者数は100~150人ぐらいでしたが、
7月に国境が閉まってからは50~100人程度になり、
10月に入って闇ルートにも制限がかかると、30~50人にまで減りました。
今日から、もう一段、国境の警備が厳しくなるという噂が流れて、
昨日は、入院中の患者さんの家族が
泣きながら、国に帰れなくなるから退院させてくれと
僕に頼んできました。
ある程度回復していれば、
多少早めの退院でも良いのですが、
不安定な人は、退院してまた病状が悪くなると、
治療をうけることができなくなるので、
退院させるかどうかは非常に悩ましい問題です。
ちなみに、今日の小児科外来の患者数は、20人にまで減りました。
ガラガラを通り越した、静けさが広がります。
ビルマの医療機関で治療ができるようになったのなら、
患者数が減っていくことは喜ばしいことですが、
残念ながら、ビルマの病院は非常に高いので、
治療が必要な人たちが、どこにも行けずに家で寝ている姿が
目に浮かびます。
一見平和でのどかに見える、ここメソットの街と、
メータオクリニック。
この静けさの後に、大変なことが起きないことを、
今日退院した患者さんが無事に落ち着いていることを、
このあたりに住むすべての人が、
平和に、安全に、水や食料、医療に教育といった
最低限の生活が保証されることを、
祈り続けようと思います。
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